第11話「迷子」
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――!!!」
なにやら喚いているのだが、ほとんどをスルーする。タケルは自分の背中に隠れて怯えている少女に目を配る。
――悪いのはこちら、か。
そう、確かに悪いのはこちら。
よっぽどゴーヤクレープを食べることができたのが嬉しかったのか。マユはタケルの足元ではしゃいでいたのだが、地面に足を引っかけてバランスを崩したのだ。慌ててタケルがマユをキャッチしたものの、マユのクレープは弧を描いて近くを歩いていた不良に直撃した。
これでは、文句を言われても仕方ない。
「ふぅ」
小さく息をつき、口を開く。
「あー……すまなかった。俺の知り合いが迷惑をかけた」
素直に頭を下げる。だが、当然そんなことで不良達の気が済むはずもない。「ざけんな!」と威勢のいい声と共に、どこから取り出したのか、水をかけられた。
「……悪かった」
後ろで覚えているマユにも小さく声をかける。もちろん、少女が出来るだけ怯えないように優しく。
「キミのクレープがかかって、お兄さんたちは怒っているんだ。悪いことをしたら……?」
タケルの言葉にマユはハッとしてタケルの横に出て頭を下げた。
「ごめんなさい」
「……ざっけんなぁ!!」
今度は彼等が持っていたジュースを顔にかけられた。さすがに彼等にも幼女をいたぶる趣味はないのか、怒りの矛先は全てタケルに向かっている。
いきなりジュースを掛けられたタケルに、マユが驚いた顔と申し訳なさそうな顔、そしてほんの少しの怒った顔を見せた。
「おい兄ちゃん。許して欲しかったら出すもん出してもらおうか」
「……出す?」
本気でわからずに首を傾げてしまったタケルに「てめぇ」とチャチな怒気をぶつけてくる。
――何のことだ?
やはり、見当がつかない。仕方がないので地面に正座する。
「なんだぁ?」
意図がわからずに首をかしげた三人とマユ。
「出来ればこのまま許して欲しい。このとおりだ」
そのまま地面に手をつけ、額をこすりつける。いわゆる土下座というやつだ。
恥も外聞もないその姿に、どこからか息を呑む声がタケルの耳に聞こえてきた気がした。
三人が息を呑んだ。
「土下座してるよ、この街中で」
「……だっさ〜」
「なんか、もっと格好いいと思ってたよね」
口々にがっかりとした言葉を呟く。
基本的に無表情で感情も滅多に出さない。授業はわかりやすいが、面白みはあまりない。そのため、3−Aの生徒と勉強が出来る一部の生徒以外からはあまりいい評価を聞かない。
その分、HRでときどき見せる子供っぽい仕草や照れたような表情がイイと彼女達の心を掴んでいたが、何よりも彼の人
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