第11話「迷子」
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にあるクレープ屋に小走りにかけていく少女の姿。歳相応な動きをやっと見れてホッと頷く。すぐ側にあったベンチに座り、
――どうやって交番に行こうか。
そう考えた時だった。
「……おじちゃん、ゴーヤクレープを2こください!」
「あいよ、おじょうちゃん! 苦いよ〜?」
「うん!」
――ゴーヤクレープ……だと?
味を指定しておけば良かった。
2つの微妙な色をしたクレープを両手に持ち、楽しそうにこちらに駆けてくる少女にタケルはため息をついたのだった。
ネギと木乃香をつけていた三人が委員長に邪魔をするように指示されて、二人の買い物を妨害していた時、突如大きな声が聞こえてきた。
「おう、兄ちゃん!どこに目ぇつけてくれとんじゃあ!」
「とっとと……何?」
ノリノリで邪魔をしていた椎名桜子が迷惑そうな顔を見せる。
「……さぁ? いいじゃん。ほうっておけば」
こちらも同じく釘宮円が顔をしかめて言い捨てる。この大声にはネギと木乃香も気付いたらしくびっくりして振り向いていた。
ともかく、彼女達には一つも関係のない話だ。一切の興味も持たずに尾行&邪魔を決行しようと動き出す。
だが、柿崎美砂の小さな一言が二人の興味を一気に引いた。
「あれ、絡まれているのってタケルさんじゃない?」
「「……え?」」
「……あれ、タケル先輩ちゃう?」
「え……あ、本当だ。なにやってるんだろう、タケルさん」
やはり二人も気付いた。3人組のごつい男がタケルを取り囲んで大声を出して好き放題言っている。
「あかん、ネギ君助けな……!」
「あ、はい! でででででも一体どうしたら!?」
こんなところで魔法は使えない。アタフタと頭を抱えるネギに、木乃香も「う〜ん」と首を捻る。
「こ……こうなったら」
ネギが何かを決心して走り出した時、それを見たネギは足を止めた。
泣きっ面に蜂。
弱り目に祟り目。
踏んだり蹴ったり。
不幸は群れを成してやってくる。
これらの言葉はよく使われる慣用句だが、今のこの時ほど俺の状況を指し示すものはないだろう。
最初、迷子を見つけた。その子の親を探すうちに自分も迷子。次いで、ゴーヤクレープ。そして最後は――
「おう、兄ちゃん! どこに目つけてくれとんじゃあ!」
――バカに絡まれていた。
「立派な学ランがクレープでべチョンベチョンになってもうたやんけ! おう、ゴラぁ!?」
下手な関西弁だと正直に言ってはいけない。何せここはタケルが生きてきた世界ではないのだから。きっと、これも立派な関西弁なのだろう。
「・・・・! ・・・!! ―
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