第百三十六話 思わぬ助けその十一
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「そうせよ」
「それで宜しいのですか」
「よい、御主はわしに仕えることを選んだ」
「だからですか」
「その青が何よりの証、わしの家臣となるということだからな」
実際に信長も今青い服を着ている、具足や兜もだ。
「ではこれから頼むぞ」
「さすれば」
こう話してそしてだった。
朽木はあらためて織田家の家臣となり彼を都まで守って送ることさえした、それで砦を越えた時にだった。
朽木を連れている信長のところに朽木の臣の一人がこう言って来た。
「都から二万の兵が出ております」
「勘十郎と三郎五郎じゃな」
信長はその報を聞いてすぐに彼等の名前を出した。
「そうじゃな」
「はい、信行様と信広様です」
まさにその二人だった。
「お二人が率いて来られています」
「何と、あと少し断が遅ければ」
朽木はその報を聞いて顔を青くさせた、服や具足だけが青くなるものではなかった。
「危うかったのう」
「それがしの言った通りでしたな」
「全くです」
微笑む松永にひやりとした顔で応える。
「いや、まことによかった」
「ですな。ただ」
「ただですか」
「朽木殿は正しい断を下されました」
彼についてはというのだ。
「ですがそれがしは」
「松永殿は」
「さて、どうでしょうか」
何故か、朽木から見ればそうなる動作で首を捻り言うのだ。
「正しいことをしたかどうか」
「いや、松永殿が右大臣様、いえ殿を救われたのではないですか」
「はい、左様です」
「では正しいでしょう」
「いやいや、それがしは評判の悪い者ですから」
表のことを言うだけだった、裏のことは言わない。
「ですから」
「心を入れ替えられたのでは」
「それがしをそう思う方は殆どおられませぬ」
織田家の中でも信長と羽柴、そして慶次位だ。
「まあ織田家は好きですが」
「今も織田家の青い身なりではござらぬか」
「よい色だと思っています」
「では正しいのでは」
「そう思われますか」
「殿もお好きですな」
「無論です」
このことは偽らざる本音だ、松永は信長を心から好いている。このことも殆ど誰からも信じてはもらっていないがだ。
「そのことは」
「では正しいことをされました」
「ですな、それがしの色は今は青でござる」
その色に間違いないというのだ。
「闇ではありませぬ。闇は」
「闇は?」
「ははは、何でもござらぬ」
気付いてだ、ここから先は言わなかった。言ってしまえばそれで全てが終わってしまうからだ。
「それでは」
「それではですか」
「都に戻りましょう、じきに織田家の方々も来られます」
主力の十万の兵と主な家臣達がだというのだ。
「それに後詰の羽柴殿達も」
「羽柴、羽柴秀吉殿ですな」
朽木も彼のこと
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