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戦国異伝
第百三十六話 思わぬ助けその十
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「あのお二人が常に公方様のお傍におられるとは」
「あの方々の素性は知りませぬが」
 それでもだと、朽木は話していく。
「天海殿は百歳を優に越えられ崇伝殿は様々な左道にも手を染めておられるとか」
「ほう、そうした噂ですか」
「噂として聞いております」
 噂は噂だ、だがだというのだ。
「ですがそうした話を聞く限り」
「最早幕府の命運は尽きたと」
「それに対して右大臣様は」
 信長、彼はどうかというのだ。
「確かに法に厳しく悪者には容赦しませぬ」
「徹底して罰されますな」
「悪者は何処までも追い」
 それが信長だ、彼は悪事を犯した者は決して許さず何処までも追い成敗するのだ。そうしてこの世から悪を消していっているのだ。
「成敗され善良な民を守っておられます」
「そして政もですな」
「先程のお話通りです」
 素晴らしいというのだ。
「税も軽くそして民を普請に使う時はその税さえ免ぜられ白い飯をたらふく食わせる様な方です」
「仁の心もおありですな」
「大器そう言うべきでありましょう」
 しかも家臣にも公平だ、よき部分が実に多い。
 その彼だからだと、朽木も言うのだ。
「あの方ならば天下を安らかにされます」
「ではですな」
「それがしは何故幕府に従っていたか」
 ここでその理由も話す。
「天下の為です」
「天下を休んじるのが幕府だと思われていたからですな」
「そうでした、しかし」
 最早幕府にその力はない、そして徳もないというのだ。
 だからだとだ、彼は言った。
「それがしも今より」
「右大臣様に絶対の忠義を持たれますな」
「そうします」
 今彼は織田家の青い服を着ていない。そこに出ていた。
「では右大臣様、いえ殿を」
「通されますな」
「そうします」
 朽木は遂にこう言った。
「それでは」
「そしてですな」
「着替えて参ります」
 こうも言うのだった。
「今から」
「そうされますな」
「はい、では」
 こうしてだった、朽木は織田家の青い服を着た。そして他の将兵達も同じだった、砦は忽ち全てが青くなった。
 そしてだった、松永はというと。
 意気揚々とその青い服に着替えた朽木を連れて信長の下に戻って来た、そのうえでこう言ったのである。
「それがしはやるべきことを果たしました」
「左様か」
 信長は松永のその言葉に確かな笑みで応えた。
「よくやった、ではじゃ」
「はい、茶器は御願いします」
「都に戻れば好きなものを言うがいい」
 それを褒美とするというのだ。
「ではな」
「それでは」
「そしてじゃ」
 信長は松永と話してから朽木にも顔を向けた、見れば松永と共に馬に乗る彼は服だけでなく冠や馬の鞍、鐙や手綱まで青だ。今は抵抗の意志がないことを示す為に具足は着けて
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