その度に
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嫌な過去。消したいのにどうして消せれないの―――――
脳内に言葉を響かせながら、無駄に少女は考え込む。枕に突っ伏して顔を埋めていた。カーテンから差し込む光とうるさいキミの声を無視して淡々と思考回路を順序よく回転していった。
また、嫌な過去を思い出してしまった…。忘れたかったのにどうして忘れてくれないの。やっぱり私があの世界を創ってしまったからだろうか。でも、創っても造っても意味無なかったよね…あれ…。
ねちねちと根暗みたいに思考を巡り合わせるのは止めて、檸羽は深い眠りについた。
――――――――――――――――……………。
『れう!!起きて!9時だよう!』
『起きt!k時だよれう!』
うぅ…朝から…せっかく寝てたのに…
『おはようれう!oきて!』
何気に高いその声をずっと無視してるわけにもいかず、檸羽はカーテンからはみ出る光に照らされながらふとんから出た。そして、ベットから下りるときもキミの声は脳内に響いていた。
そーいえば、今日って杏と何か約束してた気がするような…んーなんだっけ…
親友の約束を忘れるとはなんという阿保なのだろうか。檸羽は杏に一件のメールを送信し、朝の身支度へと急いだ。
階段を駆け下りると、朝のいい匂いが漂ってきた。それは、檸羽の母親が作った朝食の匂いでありオムレツとウィンナーと食パンといった普段と変わらぬ朝ご飯メニューだった。
「あら、れうおはよう。朝ご飯できてるわよ。今日杏ちゃんと約束してるんだって?だから、早く食べなきゃ約束の時間に遅れちゃうわよ。」
「おはよ。え…」
やっぱり杏と約束してたのか……しかも、なんで杏と約束してることを母さんは知ってるんだ…怖ッ…
「か、母さんちょっと聞きたいことあるんだけどいい?私が杏と約束してる時間知ってる?ていうか、なんで杏と約束してること知ってるの?」
なんか、質問攻めになっちゃったなぁ…まぁしょうがないよね…。
母さんが檸羽と杏の約束事を知ってるのなら、その時間帯も把握しているのだろうとふまえた上で質問したのだが…
「約束してる時間なんて知らないわよ。なに寝ぼけてるのれうったら…」
やっぱり、母さんは知らなかったようだ。でも、後者の質問はなぜかスルーされることとなった。
「やっぱり…だよね。うん、なんでもないこのこと忘れて。」
「朝からどうしたのかしら…というか、朝ご飯早く食べなさい。オムレツ冷めちゃうわよ。」
「はいはい、いただきまーす。」
檸羽はイスに座り、朝食をとり始めた。
ツーツーツーツーツー…と無機質な音に耳をすませながら。
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