第8話 「こどもの名前」
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つは、ヨアヒム・フォン・フレーゲルと言いましてな。妹の子です」
「ヨアヒム・フォン・フレーゲル男爵であります。皇太子殿下、初めまして、よろしくお願いします」
緊張しているのか、固くなっているみたいだ。
「ああ、よろしく。フレーゲル男爵。まあ、ゆっくりしていけ」
皇太子殿下は鷹揚に笑ってみせる。
この余裕が欲しいと思う。皇太子殿下もまだ、二十歳そこそこだというのに。
しかし見過ごせない一幕があった。
フレーゲル男爵にお茶を持っていく羽目になった、ラインハルト様にフレーゲル男爵が見惚れていたのだ。
「ありがとう。フロイライン」
そう礼を言う男爵の目は、ラインハルト様に釘付けになっていた。
最初は、皇太子殿下の侍女だと思い、興味があるのかと思ったのだが、どうも違うみたいだ。
そしてなにかにつれ、ラインハルト様に話しかける。
最後には、手を握る始末だ。
困惑していたラインハルト様は、ブラウンシュヴァイク公爵様達が帰られると、皇太子殿下に向かって睨みつけた。
いけない。爆発しそうになっている。
「お、お前のせいだぁ〜」
とうとう爆発した。ラインハルト様が皇太子殿下に、飛び掛っていく。
「甘いわ」
ひょいっという感じで、ラインハルト様を取り押さえ、ヒザの上に押さえ込む。
「はなせ〜」
じたばたと暴れている。
「悪い子にはおしおきだな」
皇太子殿下がラインハルト様のおしりを叩く。
そりゃ〜もう、ぺしぺしと。
身を捩り、顔を真っ赤にさせるラインハルト様。
なんだか楽しそうな雰囲気が漂っている、不思議だ。
ところでマルガレータさん。
鼻息を荒くして、はぁはぁするのは止めて下さい。怖いです。
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