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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第8話 「こどもの名前」
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いつらと仲良くできるといいな〜楽しみだ」
「わしにも会わせろ。お前の弟なら、わしには息子だろう」
「そのうちになー」

 ■宰相府 リヒテンラーデ候クラウス■

「殿下、このリストはなんですかな?」

 皇帝陛下との謁見を済ませた皇太子殿下は、私に一通のリストを渡してきた。
 なんじゃこれは?
 軍人のリストか?

「卿からミュッケンベルガーに伝えて、ミュッケンベルガーから俺に、進言するようにさせろ」
「なんでまた、そんな面倒な真似を?」
「毎回毎回、俺が強権を振るってばかりいるとな。ミュッケンベルガーが軽く見られるようになる。それは拙い。だから今回は、あいつが探してきた人材を、俺に認めさせたという形を取ろうと思う。顔を立ててやらんとな」
「はは〜なるほど」

 確かにこのままだと、ミュッケンベルガー元帥の命令が軽く見られるか……。
 皇太子殿下に言えば、命令が覆るとでも思われては一大事。そうなれば、それこそ統制が保てん。

「強権は非常時だからこそ、有効だ。平時は平時の命を下さねばならん」
「三長官にも伝えましょう」
「ああ、そうしてくれ」

 とまあこんな会話の翌日。
 ミュッケンベルガー元帥から、皇太子殿下に通信が入ってきた。
 宇宙艦隊総司令部から、掛けておるな。他の者にも聞かせるつもりじゃろう。

「帝国宰相閣下。お渡ししたリストをご覧いただけたでしょうか?」
「ああ、見た。中々の連中だな」
「では、
 エルンスト・フォン・アイゼナッハ
 カール・ロベルト・シュタインメッツ
 カール・グスタフ・ケンプ
 コルネリアス・ルッツ
 ヘルムート・レンネンカンプ
 以下の五名を、先の六名と合わせ准将とし、宇宙艦隊再建に向け、訓練に入りたいと思います」
「元帥の意見には聞くべきものがある。卿に一任する。宇宙艦隊再建は元帥にしか出来ぬ。期待している」
「はっ」

 うむうむ。背後で様子を窺っておった連中も、ミュッケンベルガー元帥の威厳が戻ってきたのを、理解したじゃろう。
 それにしても元帥も殿下も役者じゃのう。
 しらっとした顔で、演じるわ。
 うん? こらこらラインハルトにキルヒアイス。気になるのも分かるが、顔を覗かせるでないわ。
 ふ〜通信が切れたあとで良かったわい。

 ■宰相府 ジークフリード・キルヒアイス■

 通信が終わった。
 元帥の表情には晴れやかなものがあった。
 皇太子殿下のお気持ちが伝わったのだろう。信頼は未だに消えていない。
 それが分かっただけ、良かったと思う。

 宰相府で皆、集まりお茶を飲んでいると、ブラウンシュヴァイク公爵様が、見知らぬ男性を連れて入ってきた。私やラインハルト様よりも少し年上だろう。

「皇太子殿下。こや
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