第二部 文化祭
第20話 再会
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ど」
俺は言う最中、他の客──少年と目が合った。
年はたぶん、だいたい同じくらい。亜麻色の柔らかそうな髪に、緑色の瞳。線の細い顔からは、どこか女性的な雰囲気が感じられた。
──どこかで会った気がする。
「……あ、君」
少年は一瞬目を見開き、微笑んだ。
「あ、こないだの……」
──ようやく思い出した。
こないだ廊下で衝突した相手だ。それでなんだか見覚えがあったのか、と一度納得したが、何故だかやはり違うような気がしてきた。
もっと前に、出会って、同じ時を過ごしてきたような。傍にいることがしっくり来るような──そんな気がした。
──まあ、気のせいだろう。
「えっと……誰だっけ? 名前が出てこない……ごめんな」
俺は頭を掻き回しながら言った。
「別に構わないよ、名乗ってなかったし。僕はユージオ、苗字はないんだ。よろしくね、桐ヶ谷和人くん」
「お、覚えててくれてるのか」
「まあね。なんでかな」
ユージオと名乗った少年は首を傾げた。
その後俺とユージオは色々な話をした。初対面なのに、やたらと馬が合ったのだ。
俺は基本的に、人付き合いとか苦手なのだが。
「はは、面白いね君」
「お前こそ」
ユージオは壁に掛かる時計を一瞥すると、立ち上がって言った。
「……っと、そろそろ校舎に向かわないと。授業に遅れちゃうよ」
「それなら心配ないさ」
「え、どうして?」
俺は新作ケーキを頬張りながら返事をする。
「俺は本来、授業なんて最低限出てれば大丈夫な人だから」
「……成績がものすごく良いってこと? ちゃんと出席くらいしとかないと、留年とか……酷いと退学になっちゃうよ」
「それも大丈夫だって」
「え……もしかして君、?実技?優等生?」
「まあ、一応……」
改めて口にするのは、自慢しているようで嫌だった。
「ぼ、僕もだよ。一応」
「え、君も?」
「うん。あのさ……よければ今度、一緒に討伐依頼でも受けようよ」
俺も思っていたところだったので、なんだか嬉しかった。
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