第二部 文化祭
第20話 再会
[1/2]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
「よし、歌詞が出来上がりましたよ! これ譜面です!」
まりあはアスナに、作った曲の譜面と歌詞を渡した。曲名は『My independent destiny』。
「おおー! まりちゃんやるー」
アスナは最近、まりあに『まりちゃん』なるあだ名をつけた。
アスナが嬉しそうに歌詞を見ていく。何故だかその頬が赤く染まった。
「アスナ、俺にも見せてくれよ」
「やっ……嫌よ!」
慌てたように譜面を隠された。
「な、なんで……」
俺は何気にショックを受けた。
「だ、だって……」
「当日のお楽しみってやつですよ、キリト」
「そ、そうよ! まりちゃんの言う通り! 当日まで教えてあげないんだから」
別に教えるくらいいつでもいいと思うのだが、口には出さないでおいた。
「……わかった。楽しみにしておくよ」
「う、うん……」
だから、なんで赤くなるんだ。
まりあは遠慮がちに譜面をもう2つ取り出すと言った。
「直葉ちゃんの歌だけ、2つあるんですけど……構わないですか?」
「え、なんでまた」
俺が言うと、まりあは少し言いづらそうに説明した。
「直葉ちゃんには、あまりにも相反する2つの心があるようなんです。1つはアルヴヘイムでの楽しさなんですけど、もう1つは……その、この世界での苦しさやもどかしさと言いますか……」
「直葉に苦しさ、もどかしさ……? わ、わかった。今度本人に訊いてみるよ」
「お願いします」
まりあは苦々しく微笑んだ。
*
昼休み。
アインクラッドは全寮制で、無断外出禁止。その上その外出を許されることも、春休みや夏休み、冬休み以外は通常は滅多にない。
ただ、それでは神経が参ってしまうということで、数年前学園内に色々な設備が整うようになった。
たとえば花の丘。
あと、?模擬街?なるものも設置されている。
?模擬街?は名前通り?本当の街のような嘘の街?で、アスナやリズがよく遊びに行っている。その街の一角にはなかなか粋なカフェがあり、俺はここ2年間通い続けている。
カフェの名は?ダイシー・カフェ?。
経営しているのは、背の高い黒人男性アンドリュー・ギルバート・ミルズで、あだ名はエギル。
俺はそのカフェの扉を勢いよく開いた。
「よっ、エギル」
「……キリト、そのあだ名呼びはなんとかならんのか」
「それはお互い様じゃないか」
「と言ってもだな、年齢が」
「はいはい、とりあえず麦茶頼むよ」
エギルは「なんで麦茶なんだ」、「そこは水だろ」、「醤油出したろか」などキャラ崩壊寸前の言葉を口にしていたが、俺は聞こえないふりをした。
「……で? 最近新しいケーキが増えたとか聞いたんだけ
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ