崑崙の章
第19話 「一つ、我らは民の笑顔ために!」
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官の引き締めにもなりますし、決まった人間のみでは新しい発見も出来ないので、定期的に人事異動はするつもりですが」
「うん。それはもちろんだよ。皆の声をちゃんと聞かないと、皆が何を求めているか、わかんないもんね」
「そうですね。困っている人の立場に接して話を聞く。私達が行うことは、今までと何ら変わらない」
「ただ、それに仲間が増えるだけなのだ! 鈴々は、嬉しいのだ!」
そう……盾二様が示したこの政策の根本。
それは、桃香様たちが行ってきた事を、みんなでやろうという、ただそれだけの物。
それを皆に知ってもらうためだけに、わざわざこんな大掛かりなことをした。
それは……つまり桃香様たちが、善意のみで今まで行ってきたことを、兵が……民が代行するのには、これだけ準備がいるということでもありました。
いかにこの国が……今までの政策が、それを担当する一個人に頼りきったモノだったか、という表れでもあるのです。
私は、この政策を形に出来たことがすごく誇らしいです。
この制度が大陸に広まれば……一部の能力を持った人が率いるのではなく、普通の……個々の民の自警能力が増せば。
賊に無残に殺される子供や、奴隷として攫われ売られていく人を少なく……いえ、いつかは無くせるかもしれない。
「……私達が作った制度は、まだまだ穴も多いと思います。ですから……どうか、これをもっといいものにできるように、色んな意見をください。お願いします」
「もちろんだよ」
「まかせろ」
「鈴々にまかせるのだー!」
三者三様の笑顔に。
私は少し、涙が出そうになった。
―― ??? side ――
それからまた、少し時は流れて。
季節は春から夏になろうかという頃――
「らっしゃい、らっしゃい! 安いよー!」
「今日つきたての『餅』だよ! 小麦じゃなくて去年の米でついたやつだ! 保存も効くよ!」
「そこの人、どうだい! こいつは初めてとれたばかりのじゃがいもだ! 土豆って呼ばれるやつだが、漢中でとれたものはじゃがいもって呼ばれるんだ! いっぱい取れるから値段も安いぜ!」
「巴郡から取り寄せた香辛料だよー! 今日はお祭りだから、特別放出だ! 最近話題の『カレー』を作るなら絶対必要だ! うちは城の糧食としても収めるぐらいの逸品だよ!」
市場のにぎわいは、ほんの数カ月前に新設さればかりとは思えないほど盛況だった。
どの商人、そして客の顔はテカテカと明るく、元気で艶が良い。
北の幽州、そして洛陽の寂れた市場とは雲泥の差があった。
なにより驚いたのは……
「おい、喧嘩だ!」
その一声とともにざわつく周囲。
だが――
「警官を呼べ!」
「おせーよ! も
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