崑崙の章
第19話 「一つ、我らは民の笑顔ために!」
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である米八升が支給されます」
この言葉に、兵たちが皆眼の色が変わる。
そう……兵は、動員されねば報酬は支払われないのだ。
そのため普段は、農民として過ごしていたり、警備兵として活動している。
ちなみに、調練時は他のところだと無報酬で強制的に参集されるが、この劉備軍では調練運用費として、米一升が毎月上乗せで支給されている。
これらの優遇策は、全て民を飢えさせることのない世界を作ろうとする主と劉備殿の信念の表れだと言っても良い。
だからこそ兵の士気も高く、調練の成果もすこぶる良いといえる。
「また、専任していただくためにこちらで宿舎も提供することになります。警備担当時……これを『勤務』と呼びますが、勤務時には食事もこちらで提供されます」
「「「オオオオオッ!」」」
兵たちの歓声が上がった。
毎月の報酬が出る上に、勤務時には食事が出る……今までの待遇を考えれば夢の様な優遇といえるだろう。
「静かにせよっ! まだ宰相殿の話は終わりではないっ!」
私の一喝に、シン……と静まる兵たち。
うむ、調練の成果は出ておるようだな。
「どうぞ、朱里殿」
「ありがとうございます……もちろん、これはそれだけ責任が重いからこその優遇です。ただで楽させるためではありません。其のことをはっきりと言っておきます」
朱里殿の言葉に、先ほどまで浮かれていた兵の眼が、真剣な目つきへと変わる。
「では、どのようなことをするのか……あなた方が行うこと、それは一に治安維持、ニに防災、三に人心の掌握です」
「「「……?」」」
兵たちは、互いに目を合わせる。
朱里殿の言葉の意味がわからなかったのだろう。
「まず治安維持……これは、今までの警備兵と同じです。揉め事の解決や盗人などの捕縛などです。次に防災、これは火事や天災などによる街の被害の解決を行います」
「街の被害……?」
「今でも時折起こる火事の場合、その周辺を取り壊して延焼の拡大を未然に防ぎます。その上で新しい家を建てる采配なども監督します」
この言葉に、自分たちがいかに責任重大な任務を負うか、その内容に皆が息を呑む。
そう、これらは今まで朱里殿や雛里殿、そして劉備殿が行っていた政務なのだ。
それを自分たちが行うように任された……そういう意味になる。
「基本的に、家屋を建てる場合には予算も必要でしょうから、計画書を城に陳情してください。認可されれば責任者として現場で監督もしてもらいます。 ただし、不正がないように監督する人員もつけます」
優遇されれば、それに乗じて不正を行うのは人間の習性と言ってもいいかもしれない。
だが、それを個人の理性で取り締まれることに期待するのではなく、あくまで制度にてそれを律
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