崑崙の章
第19話 「一つ、我らは民の笑顔ために!」
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―― 馬正 side ――
「……というわけで。今後、漢中の外壁内、街の随所に設置されました警備用駐屯所である『交番』、これを本日から正式に運用することになります。各自、質問があればどうぞ」
朱里殿が会場内にいる警備『員』となった、兵たちを見回す。
その数、およそ千人以上。
彼らは治安維持や、警護能力が高い者たちを選抜して選ばれた、いわば精鋭だった。
「質問します。先日より内示を受けておりましたが……我々は警備兵と、どう違うのでしょうか?」
一人の兵が挙手をして話しだす。
さすがに対人能力が高い能力を持つ者達の集まりだけあり、相手が国の宰相でも物怖じしない。
うむ……人選に間違いはないようだな。
「お答えします。警備兵は街の治安を守っていましたが、基本は兵です。戦となれば動員されるものでしたが、あなた方は警備『員』となります。戦時でも漢中警護の任から基本的には外れることはありません」
朱里殿の答えに、兵たちがざわつく。
当然だ。
それは戦で武功を立てることが出来ないため、褒賞がもらえないことになる。
古来より、戦での臨時褒賞は、敵地での略奪や暴行を容認することで支払われてきた。
将もそれはわかっており、あえて見逃すような立場をとることで容認してきた歴史がある。
だが、この劉備軍では、それを軍法で明確に禁じた。
それゆえに反発もあったが、代償として戦時毎に軍功に応じての特別報酬を出すことを明言してある。
基本的には動員時に、定期報酬の一ヶ月分の報酬である米八升だが、最低軍功においてもそれに二升追加される。
その上、抜群の功績を残せたものは、最大十六升まで追加される上に武官・文官への取り立ても考慮される。
その軍法改革が発表されると、兵の希望者が殺到したほどだ。
そのため、選抜試験が設けるなど、新たな対応にも追われた。
すべてを受け入れては、国庫などすぐに空になってしまうからだ。
その上で、今回余剰人員を削減することも検討された。
その最たるものが警備兵である。
警備兵は、大体何処の街でも戦時では兵として、平時では街の警護として掛け持ちするのが通例であった。
だが、その為に個々の警護能力に差が生じやすく、平時では威張り散らしたり、逆に怠けるという弊害があった。
なおかつ、戦時には戦に人員をとられるために、街の治安が著しく低下することも問題だったのだ。
それらの問題を的確に捉え、解決策として我が主、北郷盾二殿が提示したのが『警備・治安を専門とする人員育成』だった。
その内容は……
「当然戦時報酬はありません。ですが、他の兼業兵と違い、あなた方には毎月戦時報酬と同量
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