一章 Experimental Results
No.3 フェロモンぱぅわー。
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としては望んでいたものは来ないし、楽な仕事でもなかったし、ふんだりけったりである。
とはいえ、実際凪は怒りたいのではるのだが、自身の義姉も無理やり色々するので、怒るに怒れない立場なのだ。
せめて義姉だけでも改心させられていれば、大手を振って注意できるのだが、今の凪には冷たい視線を浴びせるのでせいいっぱいだったりする。
「そりゃあお前、梅子先生が惚れる薬をだな……おっと、これは言っちゃまずかったかな」
宇佐美の発言で明らかに瞳の冷たさが増した凪だが、内心戸惑っていた。
何せ義姉から投与された薬の中に、人を引き付ける薬が投与されていたのを、おぼろげではあるが思い出していたからだ。
とはいっても、失敗したと言っていたので、凪自身はセーフだとは思うのだが、同罪であろう事は確かなのだ。
とはいっても、凪が一番困惑する原因はそれではなかった。
検体が自ら出てきたこの状況を、まったく生かさない対応に、楓という人間を知っている凪は困惑してしまったのだ。
もしかしたら調子が悪いのだろうか、そう考えてしまうほどに、楓はチャンスを逃さない人物なのだ。
であるならばどんなことが考えられるのか、もしかすると自分を預ける人に、あまり変なことは出来ない、そういった判断からなのかもしれない。
そこまで考えて、どこかズレている凪は内心ほっこりしつつ、頑張って表情を引き締めながら、さらに頑張って普通を装い、対応を続ける。
「どうでもいいから。さっさと鍵をよこせよ」
「何も反応してくれないと、それはそれでおじさん悲しいなーなんて、ハハハ……」
完全に凪にダメな男認定されていることに、毎度馴染みの反応とはいえ、流石の宇佐美でも何でも様になる相手の容姿ゆえに、今回ばかりは物悲しくなった。
何故神様って奴はこんなにえこひいきするのかね、などと脳内でのたまいながら、宇佐美はため息をつく。
そんな哀愁漂うおっさんの姿に、凪は少し心を動かされたものの、今表情を崩してしまえばそのままゆるい顔になってしまう事は確実だ。
舐められない言葉遣いを使いこなすには、舐められない顔も必要なのだと、そう楓に教わった身としては、それを体現するしかない。
正直に言えば、粗相をする前に早く鍵を渡して欲しかったのだが、宇佐美はそんな凪の気持ちを汲むような男ではなかった。
「親父」
けれど宇佐美の義理の息子である源 忠勝が、あきれた顔をしながら近づいてきたことによって、状況は良い方向へと動き始めた。
「まだ鍵渡してなかったのかよ」
ぶっきらぼうな口調はどこか義姉を髣髴される。
そんな感想を抱きながら、凪は新しく現れた人物を観察してみる。
短髪でワイルドな顔付き、年は恐らく凪と同じであろう。
目の前にいる親戚のお
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