第13話 第二次ダレダン星域会戦
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リュンヒルデのスクリーンに分艦隊司令のシュービット中将の姿が映し出される。
「シュービット、敵右翼は中々用兵に秀でてるけど、そんな時だからこそあなたの攻撃力が必要なの。あなたの隊は最大戦速で突撃し、敵右翼を砕きなさい!」
『はっ、お任せを』
「上手くいくでしょうか?」
「さあ? それは相手しだいね。レオーネ・バドエル、聞いてたよりも手強い相手だけど……」
戦闘が再開されると、バドエル艦隊左翼のカルデン分艦隊が真っ先に速攻を仕掛けたが、マリナ艦隊右翼が事前に防備を固めていたことにより攻撃は不発に終わる。
だが、流れを掴むという意味ではこの速攻は悪くなかった。
事実、戦局全体の流れはバドエル艦隊に傾きつつある。
しかし、その流れはシュービット中将麾下のマリナ艦隊左翼が攻勢に転じたことで逆向きに転じることになる。
攻勢に強いシュービット艦隊の猛攻にバドエル艦隊右翼は徐々に押され始め、中央のバドエル本隊やユリアヌス隊の支援が必要になったのである。
結果として、マリナ艦隊右翼を攻めていたカルデン分艦隊は一時的に孤立しかけることとなった。
「不味いな、このままでは俺たちだけ孤立しかねん。攻勢を緩めて味方との連携を保て」
今は攻めている立場とはいえ先程の戦闘による損害も大きく、無理に攻勢を継続して孤立してしまえば逆にこちらが撃破されるとの判断である。
が、帝国軍としてはそこに付け込まないという選択はない。
「敵左翼部隊の攻勢が鈍りつつあります」
「そう、今が好機ね。右翼のビューフォート中将の部隊に反転攻勢を掛けるよう伝達しなさい」
「この気に敵左翼も潰すつもりですか?」
「もちろん、勢いの止まった高速部隊なんて唯の的よ」
マリナの言葉通り、スクリーンの向こうではカルデン分艦隊は反転攻勢に移ったビューフォート隊の前に為す術なく打ちのめされていた。
「思ったより順調そうね。どうせならこのまま中央も砕いてしまおうかしら?」
「しかし、敵中央を担当している部隊の指揮官はミュラー提督に匹敵するほどのやり手です。容易に崩せるとは思えません」
「でしょうね、だから『アレ』を使うわ。こんな時の為に兄に言って無理やり配備させたんだから」
「なるほど……そう言えばアドルフ陛下も多用しておられましたな」
「兄の二番煎じってのが気に入らないけど……あれは確かに有効な戦術よ。さすがの私もあれを初見で見切るのは不可能だわ」
「その点からすれば、ヤン・ウェンリーは化け物ですね」
「艦隊の僅かな動きの変化からあれを察知して損害を最小限に止めるなんて人間技じゃないわ。『魔術師』の異名は伊達じゃ無いってことね。それに、シミュレーションとはいえ私が勝てなかった唯一の人物
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