その声
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『おはよう』
×××「!?」
誰だ…こんな朝っぱらから迷惑な…
そんなことを想いつつ、私 瑠嬢檸羽は不機嫌にも起こされながらベットから下りた。
そして、カーテンからはみ出る光が目に直射してよく周りが見えなかったけどその声が誰かは一瞬で分かった。
おはようと言ったのは、肉体を失ったキミだった。
そう…キミ…私の脳裏にいつもいつもしがみ付いてくるキミの声。
キミの声は消え去るように小さく、私の脳内にしかキミの言葉は聞けない。響かない。届かない。私だけに、その声をくれる。その度に嫌な気持ちになる。
『おはようおはようおはyうおhよう』
何度も何度も再生される言葉。朝からうるさいな。
「そんなに喚かないで。朝からなんなのもう…しつこい…」
凄く小さな声でその言葉の主に文句を言った。
なんでこんなことになってしまったんだろうと、何度後悔しても戻ってはくれない日常。こんなこと望んでないと知ってるのに…。それなのに私はどうかしてる。
裸なキミが私の脳内で叫んで何度も言葉を再生してという話、誰が信じてくれるのだろうか。親友であるそして共に私の空想の住人でもある杏 にもこの話は信じてもらえるかどうか少々心配なことであった。もちろん、親にそれを告白しても後々面倒なことになるので親だけにはその話を一切しなかった。
時計を見ると朝の6時ちょっと回った時間帯だった。
しかも、今日は土曜日ということもあっていつもの起きる時間にはまだ早いので二度寝をした。
『れう!!起きて!』
『おはようれうおhよう』
『起きて起kてれうおはよう』
その言葉は周りには聞こえず、檸羽だけの脳内に淡々と響かせた。檸羽がどんなに嫌かを知らずに―――
それでも檸羽は無視をし続けた。ベットの中で過去を思い出しながら。
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