星屑の覚醒
7 悪意の起動
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く善良な学生たちだった。
メリーは怒りを覚えた。
彩斗とミヤを襲った不良たちが大笑いしながらカラオケバーから出てきた。
このまま歩いて家にも帰らず、何処かへ向かう。
前に彩斗に聞いたことがあった。
連中はデンサン港の廃工場を根城にしていると。
「ハートレス...兄さんが行きそうなところ...心当たりは?」
「一応、ディーラーの人間たちが死に物狂いで探してるけど、こっちに割ける人数は少ないわ。Valkyrieにディーラーの施設が幾つか乗っ取られたということは宣戦布告も同然よ。いつでも戦闘ができるように待機してる」
「...一体何処に?」
「街にはいないとすると、デンサンシティを出たかも。デンサンシティは自然に囲まれた近代都市。ちょっと出れば、密林といってもいいくらいの森がある。断崖絶壁の海もある。この森で人を探そうとするのは無理よ。地図も正確とはいえない。気づけば森を抜けて海に落ちたなんて珍しくもないわ」
メリーは人前では彩斗を「兄さん」、そして本人の前では「サイトさん」と呼び分けていた。
ハートレスは運転席の膝の上に乗せたMacbook Proに森の図を表示している。
確かに鬱蒼としている樹海とも言える場所だ。
もし夜に入れば、誤って死ぬ可能性は高い。
所々に沼や断崖絶壁がある。
「富士の樹海といい勝負よ。そこに入るのは得策とはいえない。だから取り敢えず、街を調べ尽くしてから、最終手段として森に入る」
「...じゃあ出来るだけ急いで...。ところでそのレーダーは?」
「彩斗のトランサーかケータイの電源が入れば、すぐさま反応するわ。でも彩斗はかなり賢い。もし自分の意志で身を潜めているとすれば、あまり期待は出来ない」
メリーは自分の親愛なる人の特徴を思い出した。
恐ろしいまでに洞察力と発想力、そして実行力を持っている。
確かに端末のGPSやネットの居場所検索機能などという初歩的な手で見つかるわけがない。
「もうそろそろ行きましょう。日が暮れるわ」
日が暮れては探すのは難しい。
それを悟ったハートレスはエンジンを掛け、アクセルを踏み込む。
するとガヤルドはスムーズに駐車場を飛び出し、まだ暴走族のホームグラウンドと化していない一般道を走って行った。
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