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久遠の神話
第五十話 政府の判断その三
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「それでなんですけれど」
「大尉のことだな」
「はい、あの人強いですよね」
「そうだな。一人であの竜を倒した」
「俺達だったら二人がjかりでしたけれど」
「大尉は一人で竜を倒した」
「やっぱり相当な強さですよね」
 高橋は黒いジャージの上下だ。工藤は白だ。
 そのそれぞれの色のジャージでマラソン選手並の速さで走りながらそのうえで工藤に対して言うのである。
「あの馬鹿でかい剣も気になりますけれど」
「扱いにくい剣だ」
 工藤はあのトゥーハンドソードについても言った。
「それもかなりな」
「重いうえに大きいですからね」
「だから扱うことは難しい」
「けれど大尉は平気で使ってましたし」
「相当な膂力に」
 それにだった。
「しかも技もですか」
「力が第一だが」
 スペンサーの場合はそうだった。やはりその恵まれた体格からくる怪力が彼の剣技の源なのは明らかだった。
「それに加えてだ」
「技もですか」
「やはりそれもあるな」
「どうやら鍛錬もしているみたいですね」
「鍛えていなければあの体格はない」
 その筋肉のことだ。
「大柄なだけではないからな」
「だからですか」
「そうだ、毎日かなりの数の素振りを行い」
 そしてだった。
「掛かり稽古等もしているな」
「まさにトゥーハンドソードの使い手ですか」
「それに他ならない。技もある」
「ですね。それに大尉は頭もいいですね」
「確かにな。頭の回転も早い」
 二人にはこのこともわかった。スペンサーは力と技だけではなかった、その闘いには明らかに頭の冴えもあった。
 工藤もそのことについてこう言う。
「頭脳派でもあるな」
「こう言ったら何ですけれど剣士に頭の悪い奴はいませんね」
 高橋は自分のことでもあるのでこうした表現にした、二人の右手には神戸の砂浜がある、向こう側に青い海とその果ての四国の山々が見える。
 高橋は遠くに見えるその微かな山々を見ながらこうも言った。
「今わかっている限りじゃ一人も」
「そうだな。愚か者はいないな」
「ですよね。皆頭のキレがいいですよね」
「そうしたことも選ばれているのか」
「あの声に」
「戦うからには力や技だけでなく」
 ここでは膂力という意味だ。今は剣士としての力のことではなかった。
「頭も必要ということだな」
「ですか。声はそれも選んでるんですかね」
「おそらくな。そうだと思う」
「ですか。だから大尉もですね」
「こう言っては何だがな」
 今度は工藤がこの表現を使って述べた。
「士官は頭も必要だ」
「やっぱり人を指揮するからですか」
「そうだ、必要だ」
 そうだというのだ。
「何かとな。士官は頭が必要な仕事だ」
「作戦も立てますね」
「そうなる。俺が言うのも何だがな」

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