第一物語・後半-日来独立編-
第四十七章 火炎の鳥《3》
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の流魔刀から対処しようか判断していた。
結果、距離の短かった方の流魔刀。
つまりは前までは背後、今では正面から迫る流魔刀から先に対処することを選んだ。
左爪を開き、真っ直ぐに迫る流魔刀を握り潰そうとした。
が、流魔刀を握り潰そうとした時、左腕が突如として粉砕した。
結晶が散り、そのなかを流魔刀は行き、火炎ノ緋翼の右胸へと刺さった。
大きく火炎ノ緋翼は揺れ、視界が大きく揺れるなかで入直はもう一本の流魔刀を見る。
こうなってしまったら、撃てるか分からない炎熱火砲を使うしかない。
ここに来て撃てないとなると、さすがに悔しい。
「撃て! まだ間に合う!」
叫び、声を響かせた。
これを聞いた火炎ノ緋翼は揺れを抑えながら、右手に握る炎熱火砲を片手で垂直に持ち上げる。
揺れるなかで標準を合わし、炎熱火砲の砲身に陽炎が立つなかでトリガーを引いた。
砲撃は――なかった。
隙を突く形で、流魔刀は火炎ノ緋翼の腹部へと刺さる。
その後に、空しく砲撃が放たれた。
同時に、火炎ノ緋翼も力を無くしたように空を落ち始めて行く。
一瞬、驚いた表情を見せる入直だったが、表情は安堵のものへと変わっていった。
「……うん、もう少し動けとは言わないさ。よく、頑張ったね。もう充分さ。後はゆっくり休むとい」
火炎ノ緋翼の傷を覆っていた結晶は、この時に全て砕け散った。
役目を終えたように。
空が上へと流れ、落ちていることを実感させる。
地上が近くなり初め、同時に空が遠くなる。
背から落ちる火炎ノ緋翼にしがみ付くようにいる入直は、なんとも言えない勝敗に悔いを感じていた。
しかし、それよりも大きなものを感じている。
繋がりだ。
火炎ノ緋翼との、確かな繋がり。
改めて知ることが出来ただけでも、今回の戦いは意味があった。
何もしていないというのに、どっと疲れが入直に襲って来た。
何時からか額に流れ出た汗を拭い、一息付く。
少し休みを取るように、物静かに火炎ノ緋翼は地上へと落ちていった。
●
『こちらA1、A3応答しろ』
『爆発したのが見えたけど、平気なのか?』
身体の右側を抉られた戦竜は、内線で会話を始めた。
まだ通信機器は生きているようで、そのためノイズは起こらなかった。
風景が上へ流れるのを見ながら、
『痛覚機器の不具合で余計な痛みが生じているが、問題は無い』
『ならよかったあ』
仲間が安堵するのを感じて、ふと鼻で笑う。
『それよりも、お前の方はどうなんだ』
『まあ、こっちもオーケーってとこだな。相手は理解に苦しんでたようだけどさ。今は日来の覇王会指揮官と連絡取って、作戦の再構築中。日来側にもその内伝えられるだろうよ』
『誰かのお陰でどうなるのかと思ったが
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