第一物語・後半-日来独立編-
第四十七章 火炎の鳥《3》
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が握り潰されて空から落ちた。
「こんなこと繰り返しても無駄さね」
『いや、無駄では無かったさ』
「何……?」
すると、離れていた前に見えた騎神が消えたのを入直は見た。
否、消えたのではない。
目で追えない速度で移動したのだ。
来る――!!
判断を下す前に後ろから何かに押され、前に吹き飛ばされた。
背中を仰け反らせる形で、数メートルは移動した。
加速機を噴かし、反転を入れて背後だった場所を見たが何もなかった。
「――!? 右だ!」
何時の間にか騎神が横にいた。
やばい、その一言が頭に浮かんだ。
大気を裂き、加速機が起こす強烈な圧によって風が生まれている。
流魔が散り、更には流魔光が発生していた。
普通は流魔光は発生しない。
流魔を使うと明るく光を放つが、あれは単体の流魔が発光しているだけだ。
流魔光は複数の流魔が共鳴し合い、それによって生まれる光。
普段の淡い光とは違う、まるで閃光を常に見ているかのような眩しい光。
迫る騎神の、三つの加速機から見えていた。
正面に相手を発見し、火炎ノ緋翼は右の手に持った火剣を火砲へと変える。
そして炎熱火砲となったそれを、正面から迫る騎神へと砲口を向けた。
タイミングを見計らい――撃った。
空に一線は走らなかった。
これに火炎ノ緋翼は理解不能で、再びトリガーを引き、砲撃を試みるがやはり同じだった。
トリガーを引く音だけが鳴り、後に続く音が出ない。
「まさか、こんな時に撃てなくなったのか!」
一瞬だけ、騎神から注意を引いてしまった。
これに気付き、顔を戻そうと動かした。
はっ!?
たった一瞬だけで騎神が、自身の、火炎ノ緋翼の目の前に来ていた。
逃げろ、と口にしようとする。
が、騎神の方が動きが速かった。
振り下ろすのではなく、今度は左から右へと平面斬撃だ。
『これで――!』
戦竜は放った。
大気を切り裂き、無音で行く刃。
しかし放った斬撃は、火炎ノ緋翼には当たらなかった。
弾かれたのではなく、避けられたのでもない。
流魔刀を振るった戦竜が、右脇腹から衝撃を受け飛ばされたのだ。
反応は出来なかった。
事態の状況が掴めず、戦竜の操縦者の思考は乱れていた。
「ふ、そう言えば緋翼にも意思があったんだね。ありがと、アタイを守ってくれて」
右肩に乗っている入直は、火炎ノ緋翼の頬を撫でる。
金属の肌だから冷たかった。
触られ火炎ノ緋翼は右へと向き、視界に自身の操縦者を収めようとする。
見えて、こくりと頷く。
これを見た入直は笑みを覚え、口端が持ち上がった。
先程、火炎ノ緋翼は斬撃を放とうとした騎神を見て、即座に対処の術を考えていた。
いや、“考えていた”では語
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