暁 〜小説投稿サイト〜
箱庭に流れる旋律
歌い手、箱庭の仕組みを知る
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 あの後、僕達は白夜叉さんの私室へと通された。
 店は閉めてしまったので、こっちしか使えないそうだ。

「では、もう一度自己紹介しておこうかの。私は四桁の外門、三三四五外門に本拠を構える“サウザンドアイズ”幹部の白夜叉だ。黒ウサギにちょくちょく手を貸してやっている器の大きい美少女と認識しておいてくれ」
「はいはい、お世話になっております本当に」

 なんだか黒ウサギさんが投げやり気味なんだけど・・・まあ、あんなセクハラをされてたら仕方ないのかもしれない。

「その外門って何?」
「箱庭の階層を示す外壁にある門です。中心に近ければ数字も若くなり、強大な力を持つ者たちが住んでいます」

 春日部さんの質問に答えながら黒ウサギさんが上空から見た箱庭の図を見せてくれた。
 へえ、こうなってるんだ。なんとなく、木の年輪を思い出すな。

「超巨大タマネギ?」
「いえ、超巨大バウムクーヘンじゃないかしら?」
「ああ、どちらかといえばバウムクーヘンだ」

 三人が三人揃って食べ物だった。
 いや、僕のも三人の意見に近いんだけどね?バウムクーヘンの形って、木の年輪が元だし。

「ふふ、上手いこと例えるのう。その例えなら、今いるところはバウムクーヘンの一番薄い皮の部分に当たるな。さらに説明すると、ここは東西南北に区切った区画の東側に当たり、外門のすぐ外には世界の果てがあり、コミュニティに所属してこそいないものの強力なギフトを持つものが住んでおる。――――その水樹の持ち主も、その一人だ」

 白夜叉さんは逆廻君の持っていた木の苗を扇子で指しながらそういった。
 水樹っていうんだ、あの木。名前からして、何か水に関係あるのかな?

「して、一体誰がその木を得たのだ?」
「十六夜さんがここに来る前に得た物です」
「ほう、その童か。して、どのようなゲームを?勇気か?それとも知恵か?」
「驚くことに、素手で蛇神様を叩きのめしました」

 今、蛇“神”って言わなかった?
 神がつくってことは、神格を持ってるんだよね?それを素手で?
 どうやら、彼は予想以上のチート持ちだったようだ・・・

「なんと!?直接的に倒したとは・・・その童は神格持ちの神童か?」
「いえ、それは違うかと。神格なら一目見れば分かるはずですし」
「む、それもそうか・・・だが、それでは神格持ちを倒したことの説明がつかんぞ。蛇と人間では、持っている力はドングリの背比べだ」

 ふむ・・・会話の感じからすると、箱庭では神格はギフトのブースターみたいだな。
 持っているからといて神様になるわけではないようだ。

「でも、そこまで知ってるってことは、白夜叉さんはその蛇神さんと知り合いなんですか?」

 僕は、ふと思ったことを聞いてみることにした。
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