第7話 「逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ」
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ぶりにしてやる」
「やれ、やれー」
と当初は、煽っていた皇太子殿下だった。
しかしあくまで、軍の一部だったが、上から下まで少しずつ絡んでいたとなると、そうも言っていられなかった。
帝国三長官が揃って、責任を取って辞任すると、申し出てきたときには、書面を彼らの目の前で破り捨て、床に叩きつけた。
「辞めるって言うならよー。全部終わらせてからにしろやー。ごらぁー」
もの凄く言葉遣いが悪かった。
皇太子殿下とは思えなかったほどだ。
私と共に部屋におられたラインハルト様も、皇太子殿下の言葉に、深く頷いておられた。
人事異動すら、ままならない。
変えても変えても、問題が収まらない。どいつもこいつも少しずつ係わっていたのだ。それどころか違う問題まで浮上してくる始末。
ああ、私も皇太子殿下の言葉遣いが、うつってしまったかもしれない。
「下級士官で、出来の良いのがいたら、そいつらを上に上げてしまえっ!! 構わん、二階級特進させてでも、だ」
無茶言うな、と思ったが、それぐらいしなければ、収まりそうも無かったと思う。
そのせいだろうか、艦隊指揮官から分艦隊指揮官まで、平均年齢がかなり下がったそうだ。総入れ替えしてやる。とまで言っておられた皇太子殿下だったが、ミュッケンベルガー元帥のお顔を立てて、年内に出征する事をお認めになられた。
「これでダメだったら、総入れ替え、な」
本当なら、ごたごたしてる時に、出征なんか、させたくないんだが……。
と、辛そうに仰られていた。
そしてそうこうしているうちに、問題は軍だけではなくなった。
内務省、司法省、典礼省、宮内省、財務省なども絡んでいたのだ。
帝国全土を揺るがす大問題に発展した。
もはや関係してないのは、宰相府のみといった感じだ。
■ノイエ・サンスーシ 宰相府 リヒテンラーデ候クラウス■
宰相府の一角で、オーベルシュタイン大佐が書類に目をやっている。
無表情な印象を受けるが、最近、この男の表情が読めるようになってきた。
少し辛そうだ。
まさかと思っているのだろう。
私としても、同じ気持ちだと思う。
まさか、これほどの大問題に発展するとは、思ってもみなかった。
余計な事をしおってと、愚痴の一つも言いたくなるが、言っても始まらん。
オーベルシュタインと席を並べているのは、オイゲン・リヒター、カール・ブルッケ、マインホフ、ブルーノ・フォン・シルヴァーベルヒ、ウルリッヒ・ケスラーなどだ。
前の連中はともかく、マインホフとシルヴァーベルヒとケスラーは皇太子殿下が直接連れて来い。と仰ったのだ。シルヴァーベルヒは、どうせ辺境辺りで燻っているだろう。ケスラーはあの老人の配下であったが、いいから連れて来いと
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