第百五十七話 ヴァンフリート星域会戦 その6
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
誉ある捕虜として扱う事を、皇帝陛下に誓い履行いたします」
セレブレッゼ中将は、そう言われても、帝国と言えば自分達を叛徒と呼んでいる事も有り、中々信用できないと言う表情で口ごもる。
「私としては、降伏には異存がないが、階級に適した正当な処遇を求めたい、無論生命の保証は第一にお願いしたいが」
この期に及んで自分の生命の保証を先に話すセレブレッゼ中将の態度にサンバーク少佐とシェーンコップは呆れていた。
そんなセレブレッゼ中将を見ながらランズベルク伯は“叛乱軍にも自らの命が惜しくて部下の事など後回しな人物がいるのものだ”と考えていたが顔には出さずに、労うように話しかける。この辺は貴族として生まれて以来の社交辞令で切磋琢磨された感性で如何様にも対応できるのであるから。
「中将、ご安心を先ほど申したように、我々は皇帝陛下より、卿等全ての生命を保証し名誉ある捕虜として正当な処遇をする事を申し遣わされております。この事違える事はございません。ご婦人の方は特にご安心頂きたい、このランズベルク伯アルフレッドの命に替えても無体な目には遭わせは致しません」
堂々とした態度のランズベルク伯の姿に益々、サンバーク少佐、シェーンコップの興味は増した。更にシェーンコップの悪戯で、この会見が基地全体に流れた結果、ランズベルク伯の格好良さと、対照的なセレブレッゼ中将の格好悪さが目立ちまくった。
自分達の指揮官の情けなさと自己中心的な言動に依って、ランズベルク伯に対する悪感情が減り、特に婦女子ではランズベルク伯の精悍な姿とその言動に安堵感を得る事になる。その後、捕虜として帝国へ移送された際にも約束通りに一切の危険な行為に遭わなかった為、“約束を守る人、格好いい人、素敵な人”と言う話が流れたのであった。
ランズベルク伯アルフレッド、原作での平民であろうとも分け隔て無く付き合える帝国貴族中でも希代の良点を持つ男が、オフレッサーの指導で一皮も二皮も剥けた為、恐ろしいほどに優秀な人材に育ったのである。尤も私生活では相変わらずサロンで下手な詩を書いているのであるが、それは仕方が無い事である。テレーゼは何れ、メックリンガーに師事させるつもりであるが。
その後、武装解除が行われ、順番に降下してきた輸送艦、病院船に次々に乗船し護衛の元で星系外の安全地帯に移送されていった。
無論シェーンコップ達ローゼンリッター連隊も一切の報復等は行われず、返って装甲擲弾兵連中からは、勇者を称える行為として酒や肴を差し入れされて、皆、唖然としてしまった。
酒を受け取った後、シェーンコップにリンツが話しかけていた。
「副連隊長、なんだか拍子抜けですな」
「帝国産430年物か、此奴は良い味だ」
リンツの話を聞いているのか聴いていないのか、シェーンコップはワインを飲
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ