ファントム・バレット
黄昏の作戦
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でいいとは思っている。
それを見たダインはつまらなさそうに鼻を鳴らす。しかし、アタッカーである男はシノンとアウラに向かってニッと笑いかけた。そしてまだ眠そうなアウラの横にいる自分を憎憎しげに見た。
「チクショウ。アウラは駄目か……クソ、何でこんな世界でリア充になれるんだよ……やっぱりアバターでの顔の差か……かなり課金してんだろあいつ……」
リア充といわれるが実際はリアルに充実、つまりは現実に生きているのに何の不自由もないことなのでほとんどの人がリア充じゃないのか、と思いながらその男を見る。男はアウラを見て溜め息を吐きながら首を振ると今度はシノンのほうを見てニカッと笑うと四つんばいで近寄って行った。
「シノっちさぁ、今日このあと時間ある?俺も狙撃スキル上げたいかで相談に乗ってほしいなーなんて。どっかでお茶飲みながらでもどう?」
シノンはそう言われて一瞬顔をしかめたように見える。だが僅かな差なので相手にはピクッと反応したようにしか見えなかったと思う。そしてしばらく考えているのか黙る。そして数秒後、シノンは頭を下げた。
「……ごめんなさい、ギンロウさん。今日はちょっとリアルで用事があるから……」
ギンロウは断られたのにうっとりとした表情をしている。珍しい女性プレイヤーの声を聞けたからだと思う。しかし、シノン自身はその声が嫌いなのか少し不機嫌、のように見える。
「そっかぁー、シノっちはリアルじゃ学生さんだっけ?レポートかなんかかな?」
「……ええ、まあ……」
そう答えると一度こちらに目を向けてくる。たぶん、いい加減鬱陶しくなったのであろう。自分に何とかしろ、と言ってそうな感じだ。そう解釈するとシノンに迫っているギンロウに向けて言った。
「ギンロウ、リアルの詮索はネットではマナー違反だろ」
「そうそう、シノンさんが困ってるでしょう。リアルの話を持ち出すなんてネットではご法度ですよ」
「そうそう。向こうでもこっちでも寂しい独り身だからってさぁ」
自分が言うとその後にスモーク処理されたゴーグルをつけている男と、迷彩のヘルメットを斜めに被った男が支援してくれるように言う。そう言われると自分のところには睨み返してから他の二人に拳をぐりぐりと押しながら言い返す。
「ンだよ。お前らだって何年も春が来ないくせに」
ひゃひゃひゃと笑う三人を見て、この三人はリアルでも知り合いなのか、と考えながら再び視線を標的が通ると思わしきルートを見る。だがまだ、そこからプレイヤーの影すら見えない。本当に今日も来るのか、と思いながら双眼鏡を使ってそこを見る。そして数十分が過ぎた辺りから、そこにはゆらゆらと揺れながらこちらに向かってくる人影が見えた。
「おい」
自分がそう言うと偵察役の奴が頷き
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