第3Q「彼の顔が曇ったんだ。」
[1/2]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
助けたいのに方法が思いつかない。そんな自分が嫌だった。
「あら先客かしら?」
後ろから声がした。女性の声だった。
しかもどことなく百合羽さんに似ていた。
その人は僕の向かえに座った。
「あの、百合羽さん?」
気がつくと声が出ていた。
「あ、初めまして。百合羽の姉の菊羽です。よく妹に間違われるのよ。」
そう言いながらクスッと笑った。姉妹とは言え仕草のほとんどが似ていた。
「ありがとうね。お見舞いに来てくれて。妹も喜ぶわ。って言いたいところだけど・・・百合羽の
お友達?」
「あぁ、申し遅れました。帝光中バスケ部黒子です。」
と言いながら一礼した。
「バスケ部?じゃあ征十郎君と同じなのね。」
「はい、しかしすいませんでした。彼女をこんな目に合わせてしまったのは僕のせいです。本当に
申し訳ありません。」
頭を下げ必死に謝った。
こんなことになったのは僕のせいだから。
「確かにこんなことになったのは黒子くんのせいね。
でも私はそんなこと思ってないわ。百合羽もね。しかもあなたを庇ったということでしょ?そんな
勇敢な妹を持ったことを誇りに思うし、それにこうなるのは前からわかっていたから。」
え?驚いた。怒らないなんて。そんな冷静になれるなんて。
しかも・・・わかっていた?どうゆうこと・・・こんなことが運命だというのか。
「あの子小さい頃から不治の病を患っててね。医師から長くはもう生きられないって。
長くて高校入学ギリギリ。短くて一ヶ月・・・かな。」
何も考えられなくなった。どうしたらいいのか・・・頭がぐちゃぐちゃになって壊れそうだった。
そんな・・・嘘だ。そう拒否することしか出来なかった。受け入れなきゃいけないのに。
いや。百合羽さんはもっと前から受け入れたのに。
「百合羽さんはいつから知っていたんですか?」
「確か小学校入る前からかな?こうなってすぐに。」
え?こうなったすぐ?
「生まれつきとかじゃないんですか?」
「そうよ。その様子だと本当に征十郎君から何も聞いてないのね。あの子は事件でこうなったの。
9年前の誘拐事件知ってる?『幼児障害誘拐事件』その当時5歳の幼児が百合羽だったのよ。
心臓付近を刺されて体が弱くなって丈夫で元気だった百合羽じゃなくなったの。
それまで遊びでやってたバスケもできなくなって。でも治療法は無くて。
あの子かなり落ち込んでいたの。中学もね本当は養護学校通うはずだったんだけど。
最後に学校生活になるなるならって帝光中学がいいってわがままを言ったの。」
そのあと気がつくと家にいた。
ただあのことを聞いてなんて言ったらいいのかわからなかった。
僕は彼女のことを知ったふりしてい
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ