第十五話 悪い予想は良く当たる
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隊司令長官にした。
しかしビュコック司令長官は士官学校を卒業していない。そしてかなりの高齢でもある。その事が一部の人間にはビュコック司令長官は次の司令長官が決まるまでの中継ぎだと取られている。これは一時的な処置だと取られているのだ。功績を挙げれば軍の信頼も回復する、そうなればビュコック大将が司令長官職に有る必要は無い。直ぐには無理でも一年もすれば功績を挙げた人間が司令長官に就任するだろう……。
ホーランド提督が功に逸るのもその所為だ。ここで巧を上げ司令長官に就任すれば三十代前半の宇宙艦隊司令長官が誕生する。ブルース・アッシュビー提督を凌ぐのも難しくはないだろう。問題は功を上げられるかどうかだ。あの非常識な艦隊運動が何時までも続くはずが無い、限界点に達するのが早くなるだけだ。
あの後退している艦隊、あの艦隊がそれを見逃すとも思えない。必ず一撃を加えてくるだろう。それにしてもあの艦隊、グリンメルスハウゼン元帥の本隊なのか? 動きからすればそう思えるのだが配置は右翼だ。どういう事だろう……。
帝国暦 487年 1月 4日 ティアマト星域 旗艦ブリュンヒルト エーリッヒ・ヴァレンシュタイン
同盟軍の一部が訳の分からない艦隊運動をしている。そこらじゅうを走り回って帝国軍をかき乱し攻撃を加えている。なるほど、同盟軍第十一艦隊ウィレム・ホーランド中将か……。疑似天才、先覚者的戦術だな。ビュコックも苦労するだろう。
「反乱軍、こちらに向かって来ます」
オペレーターが緊張した声を出すと皆が俺を見た。
「元帥閣下、艦隊を後退させます、宜しいでしょうか?」
「うむ」
「艦隊を後退させよ」
俺の出した命令に従ってグリンメルスハウゼン艦隊が後退するとホーランドの艦隊は方向を変えてヴァルテンベルク、クライストの方向に向かった。
「閣下、このままではヴァルテンベルク、クライスト両艦隊に被害が増大します。反乱軍の攻撃を避け後退せよと命じたいと思いますが」
「うむ、そうしてくれるか」
多分無駄だろうな、オペレーターに命じながらそう思った。二十分もしないうちにその予想が現実になった。後退しないヴァルテンベルク、クライスト両艦隊に同盟軍第十一艦隊が襲い掛かっている。そしてヴァルテンベルクもクライストもそれに対応できずに損害を増やしている。世の中、悪い予想は良く当たる。良い予想はまるで当たらない。ビュコックと俺、どっちが苦労しているのだろう。
「ヴァルテンベルク、クライスト両艦隊が後退しません!」
「馬鹿な、何を考えている!」
「命令違反だぞ、抗命罪で処罰されたいのか!」
オペレーターの声にアルトリンゲン、バイエルラインが声を上げた。他の連中もざわめいている。溜息を堪えながらグリンメルスハウゼンに再度後退命
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