一章 Experimental Results
No.2 マッドな料理。
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る力をくれる間、自分は何も出来ないけれど、何かできるようになったのなら、何か成し遂げたいと、凪はそう思うのだ。
「凪、もう大丈夫なのか?」
起きてきた義姉が、最近視力が悪くなったわけではないのだが、大人っぽい雰囲気を出すといって買った眼鏡を装着している。
相変わらず何故そうなるのか凪にはわからないが、似合っているからいいかと、特に触れずに居るのが現状である。
それに対して些か楓は不満を持っていたりする。
何せ、義姉である楓自身が落ち着きがなく、両親から凪の方がお兄さんだな、と無神経なことを言われたからこそ、買って装着している物なのだ。
だというのに、凪は相変わらずで、しかも特にコメントもしてくれない。
だからといって拗ねる楓ではないが、少し悔しいのも確かなのだ。
故に何かしてやろうか、と楓は思った。
けれど外を見る凪を見て、流石の楓も自重した。
眩しそうに外を見る凪は、楓に閉じ込められた籠の鳥を連想させるのだ。
凪が苦しむのを見るのが好きなわけではない、だからといって、自分の知的好奇心が満たされるのは好きなのだ。
今まで感じたこともないジレンマに、最近悩まされ続けている楓は、とても悪戯してやろうという気になれなかった。
いつか、己の意思を通せるようにと、肉体改造を施してはいるが、本当にそれを凪が望んでいるのかもわからないのだ。
それでも甘んじて実験を受けてくれている弟に、楓は心の中でひっそりと感謝している。
そして感謝しているからこそ、最高の実験にしてやろうと意気込む。
いつもより大量の薬瓶を握り締めて。
◇◆◇◆
月日の流れが、凪には殊更早く感じた。
日々気絶して、気づいたら次の日になっていたり、日々三途川へ行って知らない誰かと草船を流して遊び、目覚めると数日経っていたりと、凪に時間を感じる余裕などなかった。
だからこそ、凪は今年の春、中学生になることに対して、驚きを隠せないでいた。
小学校へは行っていないが、義姉に教えてもらって中学生の範囲までなら理解しているとはいえ、もう中学生という感覚が大きすぎるのだ。
さて、ここで何故義務教育を無視できているのか、などと疑問に思うご近所さんも多いだろう、それは楓が天才だからと言えば、大抵のお偉方には通じる。
城宮楓が天才だというのは周知の事実であるからだ。
凪はよく理解していないが、様々な分野の研究チームから誘われ、悉くを断り続けている楓は、世界を変えるとまで言われている逸材である。
けれど、楓は面倒くさい政府に強制されたり、決められた題材に対して実験を繰り返すよりも、自分の欲望が赴くままに実験する方が好きなのだ。
故に楓は断り続けている。けれど今回弟になった凪の小学校へ通わせ
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