一章 Experimental Results
No.2 マッドな料理。
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するが、見た目は完全に泥団子だった。
凪はそれを見て今度こそ駄目だと思った。
けれどそんな凪の思いに相反するように、美味しそうな匂いが凪の鼻腔をついてくる。
ゴクリ。
そんな擬音を鳴らしながら、凪はどうせ食べるのだからと、目を閉じてフォークを手に取り、ついには泥団子、もとい肉団子に突き刺して口にソレを運んだ。
「んぐっ!?」
強烈な味が味覚を強く刺激する。
今までとはまるで違った薬の味が全くしない食べ物。
先程のデミグラスハンバーグも凄かったが、これはもっと凄いと、凪は素直に感じ入った。
義姉はついに料理に目覚めたのだと、凪がそう確信するのも仕方ないといえる。
そうして凪は幸せな絶頂をかみ締めながら、気絶した。
◇◆◇◆
体中が痛い。
まるで最初に義姉の料理を食べた時と同じか、それ以上だと思いながら、凪は体を無理に動かし、ベッドから体を起こす。
いつも倒れた後は義姉がベッドに運んでくれるのだが、今回はそれ以外に特別な点があった為、凪はそれ以上動くわけにはいかなくなった。
ベッドの脇で義姉が寝ていたのだ。
「次はこれと、それとこれを……」
酷く不吉な寝言をのたまう義姉に苦笑しつつ、凪はゆっくり義姉の頭を撫でる。
凪がこの家に来てわかった事はまだ少ないが、義姉が自分を決して嫌っていないことだけは、正確に理解している。
自分に変な食べ物を食べさせるのも、凪自身の為だと教えてもらった事もある。
だから凪はこんな義姉でも好いていた。
若干シスコンのきらいがあるものの、異性としてではなく、弟として、家族として正しく好いていた。
凪は義姉の頭を撫でるのに満足した後、重い体を引きずって、冷蔵庫に向かう。
起きてから喉が渇いて仕方ないのだけれど、これは新しい料理のせいだろうか? そんな事を考えながら、凪は『義姉許可必須』と書かれていない普通のお茶を取り出し、グビグビと飲んでいく。
ここ数ヶ月で、凪は己が大きく変わっていること自体は理解していた。
とはいえ何処まで自分が強くなっているのかは、よく理解していなかった。
何せ凪はココ数ヶ月、ずっと泡を吹いたり、気絶したり、三途川へ行ったり、気絶したりと家から出たためしがないのだ。
運動もろくにしておらず、義姉に看病される日々の方が、普通に生活している日々よりもかなり多い。
それに加え、力比べや喧嘩したりする相手も近所にいないので、実感する事が出来ないのだ。
それでも凪は満足していた。
今は温もりがある、それだけでもう凪の心はいっぱいだったのだ。
とはいっても、外に興味がないわけではない。
いつか外に出て、義姉や両親の役に立てればと、凪はそう思うのだ。
義姉が守れ
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