一章 Experimental Results
No.2 マッドな料理。
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耐え難いほどの孤独が、凪を蝕んでいくのが当時の凪にはわかった。
まだ幼い子供だというのに、自分は駄目になるんだと、そう思っていた時期さえあった。
そんな時に差し伸べられた手は、凪の心を温めてくれた。
親がほしい、そう思うのはその年頃の子供にとって当然の事なのかもしれない。
そして凪はその類に漏れず、いつも羨ましがっていた。
それが向こうからやってきたのだから、嬉しくないはずがなかった。
そして今、不器用でも自分の家族が、自分の為に料理してくれているのだ。
凪に拒めるはずもない。
「うん、出来たぞ。見た目はデミグラスハンバーグ1号」
鉄板においていないのに、沸騰しているかのようにアワがはじけているハンバーグ。
それを見て凪は恐怖に慄きつつも、いつもより見た目はマシだとそう考え、他の品に目を移す。
白米にサプリと思わしく錠剤が突き刺さっているのもいつもどおり、これはもう食べなれているので助かったと、凪は知らず知らずに息を漏らす。
それを目ざとく見た楓は、もっといけるかと考えを改め、新たに一品追加する為に台所へと戻っていく。
そんな楓に気づくことなく、凪はどうやって、アレを胃に流し込むか考え始める。
食事は戦争だ、いつかそんな話を聞いた覚えがある。
いや、実際今では昔の事のように思える極楽院で、食事は戦争だったのだ。
とはいえ、今の状況とはまた違った戦場ではあったが……。
「匂いは普通だよね」
デミグラスハンバーグの匂いを嗅ぎ、もしかしたらと期待を込める。
最初の頃、料理の見た目すら酷すぎた為、こうもらしい見た目を見てしまうと、どうにも規定してしまうのだ。
それでも最大限の注意を払い、凪は最もダメージの少ない錠剤入りご飯を書き込んだ後、お待ちかねのデミグラスハンバーグへとかぶりつく。
肉汁が溢れてきた瞬間、凪は久々に料理という物を思い出した。
食べ物ってこんな味だったっけと。
あまりの美味しさにがつがつ食べた凪は、完全に油断していた。
楓とて日々まずそうに、けれど笑いかけてくる凪を見て傷ついていないわけではなかったのだ。
故に今回、試しに味を調えてみたところ、想像以上の結果をもたらしたことに満足していた。
味を整えながらも、今回はキツめのブツを投与したのだが、ことのほか、凪がダメージを受けていないのだ。
味は大事なのだな、と思いながら楓は成功を確信したのだ。
「ふむ、どうやら成功だったようだ。味さえ調えれば結構きついものもいけるな」
成功を確信した楓は、限界点を見出そうと決め、新しい料理を凪に提供する。
凪の目の前に出されたのは、泥の塊、泥団子だった。
「肉団子だ。美味しいぞ」
確かに美味しそうな匂いは
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