チームの弱点
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に攻撃しなかったんだい。ううん――なぜ、こちらの作戦を看破した?」
「そ、そんな見破って何かいません。僕がアレス先輩の作戦を見破れるわけが」
「でも。君の動きは正しかった。もし、そちらの左翼が動かなければ、こちらは君の艦隊に対して攻勢をかけれなかっただろう。さらに言えば、もし君の言葉がワイドボーン先輩に理解されていれば、作戦自体が完遂できなかった」
「み、見破って何か。ただ、何となく……」
「何となく?」
「何となくなんです。本当に、何か、嫌だなって思って。それで」
「嫌だなと思ったから、こちらの右翼を攻撃したと……じゃ、何で嫌だと思った?」
「そ、それは何となくで」
「何となく何となくと、きさ……あああああっ、鼻が、鼻が」
蹲ったままに叫びかけたワイドボーンを踵で打ち抜きながら、アレスはにこやかに答えた。
ますます目を白黒させるテイスティア。ローバイクとコーネリアは、その様子に小さく苦笑している。
周囲の失笑に、少しずつ緊張も取れたのか、テイスティアは少し考えた。
「その。今までのアレス先輩だと艦隊を動かしたら、他も少し動いた気がしたんです。でも、今回はまったく動きがなかったので」
アレスは目を開いた。
その様子に怒られるとテイスティアは頭を抱えた。
確かに、一つの艦隊を動かす時にアレスは他の艦隊の連携も考えてわずかに艦隊を動かしている。
それは敵の動きに合わせてもっとも効率的な射線を作りだすことであった。しかし、それは誰にも気づかれないほどに微妙だ。小さくて艦隊一個分程度の動きでしかない。
現にローバイクとコーネリアが顔を見合わせている。
その事にますます申し訳なさそうにするテイスティアに、アレスは黙っていた。
おそらくはこちらの癖を読まれた。
そう結論付けてよいのだろうが、彼が癖を読んだのはわずか艦隊一つ分の動きだ。
彼が嫌だといったことを考える。
ただ怖いからと思っていたが、本当にそれだけだろうか。
頭を抱えるテイスティアに、アレスはしばらく迷う。
「君は、士官学校をやめた方がいいな」
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