暁 〜小説投稿サイト〜
Black Engel and White Engels
魔法少女はじめました
Opening
序「コズミック・パズル」
[1/6]

前書き [1] 最後 [2]次話
これまで見てきたヒーロー・ヒロインものは、ある一方の視点しかぞんざいしていなかった。それはそれで子供向き、それに群がる大きなお友達向きなのかもしれないが、実際そういう状況が発生した場合、色々な組織が、色々な動きを見せてそれは権力という蜜に群がる汚いパズルのようだ。
そう言っていたのは、私の最も大切な人だったことを思い出した。

時に1999年7月7日。時刻はもうすぐ2100になろうかとしている。
場所は、東京都檜原村の山中。私は真っ暗に塗装された73式小型トラックの助手席から、高倍率の野戦用暗視装置付き双眼鏡で状況を観察していた。

「やっぱり十字架に磔にされていますね。」
そう言って運転席に座って同じように双眼鏡で状況を見ていた偵察部隊(リーコン)の分隊指揮官が報告した。
「そうですね。こちらからの視認できました。」
狐1(フォックス・ワン)より巣へ。状況確認。天使は4人ダンテの世界へ。繰り返す。天使は4人ダンテの世界へ。」
隣でその交信を聞きながら、私は思わず噴出してしまいました。

「ダンテの世界とは、また文学的なのですね。」
すると、中尉(分隊指揮官)はニヤリと白い歯を見せて笑いました。
「私もそう思ったのですけどね。巣がそれで良いと言っていましたので・・・」
こんな会話をしている時でも、車の周囲の草むらには偵察部隊(リーコン)の隊員が隠れて、私たちと同じように天使4人が磔にされている状況を見ています。

「しかしまぁ、ある意味神秘的な光景ですね。天使のような無垢な少女、まぁ本当に無垢かどうかこの際論じませんが、が4名も磔にされて、しかもその前には黒マントを羽織ったこれまた真っ黒な衣装に身を包んだ、いかにも“私はナルシストです!”と言わんばかりの男と身長2メートルはあるかと思う外見がクマとオオカミのモンスターが各1体。一体いつから我が国(日本国)は日曜朝の子供向け番組の世界になったでしょうね?これなら日本民主主義人民共和国(レッド・ジャップ)と楽しいゲームをしていたほうがまだ良かった。」

そういって、双眼鏡から目を離した中尉が頭を振って言葉を紡ぎます。
それはよくわかります。この業務支援室(ガールズ・オフィス)は女性のみで編成されていますが、その中にはあの統一戦争(ホッカイドウ・ウォーズ・セカンド)を経験している人が少なくありません。彼女たちにしてみれば、これは子供の遊びでしかありません。
「全く、2115現在、状況に変化なし。」

同時刻・東京都立川市立川広域防災基地内・立川事務所
立川広域防災基地、首相官邸や危機管理センター、防衛省中央指揮所、東京都防災センターが大規模災害などにより機能不全に陥った場合、政府機能を遂行する国の拠点である。実際は旧米軍立川基地が母体であるが。


前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ