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ハイスクールD×D 千変万化の男
殴る為に
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視界が戻る。
身体を蝕んでいた灼ける様な痛みは既に無い。
息を吐く。
身体の隅々まで意識を行き渡らせる。
指を動かす。
自分の身体を確かめる様に動かし、傍に突き立った愛用の十文字槍を手に取る。
十文字槍を振り、構える。
少し離れた距離には吹き飛ばされ、呆然と此方を見る青年がいた。

「真田 幸村、此処に推参!さあ、お相手願おうかっ!」





青年は混乱していた。
先程まで虫の息だった相手からいきなり光輝き突如発生した衝撃波で吹き飛ばされたのだ。
光が収まると立っているのは学生服の死にかけの青年では無く、真紅の鎧を身に纏った戦国武将の様な男なのだから。
武将は自分の身体を確かめる様に動かし、傍に突き立った十文字槍を手に取ると此方に向け、構える。

「上等じゃねぇか…」

ボロボロになった光の気配を隠蔽するコートを脱ぎ捨て、下に着ていた神父服の懐から光銃を取り出す。
今まで悪魔からの目を掻い潜る為に隠していた代物である。
溢れ出す光の気配。
これは教会の神父に支給される光銃とは違う、彼が手を加え、光を蓄えて打ち出す仕様となっている。
これまで溜め込んだ光を撃ち込めば上級悪魔ですら消滅させる事が出来るはずだ。

「くたばれっ!」

真っ直ぐに撃ち出された光弾はしかし武将:幸村に当たるはずもなく、彼の脇を通って消えていった。
青年は思い込んでいた。
真っ直ぐとはいえ高速で撃ち出された光弾を避けるなど無理だと。
しかし相手はあの武田が将、真田 幸村である。
織田の鉄砲隊の様な連続射撃でも、不意打ちでもない銃弾以上の大きな光弾如き、避ける事など動作もない事である。
そして…武勇に置いて彼に比肩する腕を青年が持っているはずもなく、呆気なく振りかぶった西洋剣を弾かれ、石突で頭を打たれ、昏倒したのだった。











新しい下僕悪魔の付近に光の気配を感じ、リアス・グレモリー以下眷属は、その現場へと来ていた。
そこは人気の無い公園で、強力な結界が張られていた。

「結界…?朱乃、破れるかしら?」

「ええ、少し時間が掛かるけど破れるわ」

中で何かが起きている。
気持ちが急いてつい自身の消滅の魔力を使いそうになるが、中の霧也を巻き込んでしまう恐れがあるので何とか自分を律する。
朱乃が結界を破る間、中にいるであろう霧也の事を考える。
彼を眷属にした後、僅かな時間ではあるが彼の事を調べたのだ。
中学校を卒業する頃、両親が他界し、親戚等の縁者もおらず、両親が他界後、両親の遺産を使用して1人で生活しているのだ。
そして不可解な事が分かった。
彼の生存理由である。
彼の両親の死因を調べている内に判明した事がある。
彼は両親と共に堕天使に殺されているはず
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