暁 〜小説投稿サイト〜
問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
破滅の抜け道 C
[1/4]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「あぶね!」

心臓に向けて放たれた手刀を、一輝は体をそらせてよける。
ギリギリでよけることは出来たが、服の手刀がかすった部分が、刀で斬ったように、綺麗に切れる。

「この服も気に入ってたんだけど・・・それどころじゃないか。」

一輝は攻撃をよけながら、目の前の状況の分析を始める。

《剣がいきなり人に変わって、そいつの手刀で服が切れて、ついでに俺が作ってるいろんな剣も効かない。目が紫の少女で、全裸。ムネの大きさはBぐらいで・・・》

一通り今の状況を書き並べた結果、結論は

《何も解らん!》

である。だからか、一輝は直接聞くことにしたようだ。
相変わらず呑気に。

「こんにちは。オマエは何者?何で全裸?剣の性質を持った人であってる?」

一輝はどうせ何も答えてくれないだろうと、かなり適当に、聞きたいことを聞くが、

「私は人ではない。呪われた魔剣、“ダインスレイブ”。服を着ていないのは、剣の姿の際に、服など纏っているはずがないからだ。」
「・・・え?」

しっかりと、全ての問いに対する答えが返ってきて、一輝の思考が固まる。

「え?あれ?ヤシロちゃん、君さっき自我はもってるかどうか曖昧って言ってなかった?」
「うん、言ったね。」
「じゃあ、何であの子はこっちの質問にハッキリと答えたり、今もこっちが話してるのを狙ってこないの?」
「私、中には強い自我を持ってる子もいるって言わなかったっけ?」
「・・・言ってましたね。それがあの子?」
「うん。スレイブちゃん。」

一輝は再び少女、ダインスレイブのほうを見る。

「じゃあスレイブ、君は自我がありながら、自ら破滅に向かう気か?」
「その通りだ。私はこの世にあるべきではない呪いによって生まれた。毒だ。」

二人は戦闘を再開していた。
スレイブが切りかかり、一輝がそれを何種類もの剣で防ぐ、一方的な戦いが。

「その毒は、一体誰に迷惑をかけるんだ?」
「誰に、だと?愚問。我が呪いを知らぬからそんなことが言える!」
「じゃあ教えてくれよ。そうしないと、お前を救えない。」

一輝が何のためらいもなく言った一言に、スレイブはキレる。

「私を、救う?何をふざけたことを言っている!今まで、敵を全て切り倒していたものが!」
「確かに、自我の弱いやつは切り倒したな。破滅することに、何の感情も持たないやつは。」
「ならば!なぜ助けるなどとのたまう!」
「オマエは、間違いなく自我を持ってる。それも、かなり強い自我を。だからだよ。」
「それのどこが理由なのだ!」
「そんなやつが、自ら破滅に向かうのを、俺は見たくない。もう二度と、そんな光景は、な。それに、呪いなら俺の専門分野だ。」

一輝の中で、スレイブは少しだが父親とかぶって
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ