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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第72話 廃墟の聖堂
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後の少女が倒れた瞬間……。
 何処とも知れぬ場所から流れて来ていたフルートの音色が途絶え、世界は猛烈な北風が吹く、しかし、通常の理の支配する世界へと回復して居たのでした。


☆★☆★☆


「そうしたらワイバーン。彼女たちを連れて、マルセイユの街に先に帰ってくれるか」

 この島に操られて連れて来られた少女五人をワイバーンの背に預け、魔将ハルファス、炎の精霊サラマンダー、最後は俺自身の飛霊を護衛に着けて上空に送り出す。
 いや、本来ならばタバサも同時に連れて行って貰いたかったのですが……。

 そう考えながら、俺の右側に立つ少女に意識のみを向ける。
 何故ならば、俺と同期(シンクロ)状態に成った後に無防備と成るタバサの身体を護る為に割ける戦力がこのままでは……。
 しかし、ただ何となく危険な予感がするから、程度ではこの段階から同期状態を維持する訳にも行きませんから。

 そう考えた瞬間。

「折角集めた女の子たちを逃がしたのはキサマか?」

 背後から……この廃墟と化した元聖堂の奥から聞こえて来る若い男性の声。
 振り返った俺の視線の先。聖典の朗読を行う台の残骸が有る場所に立つ赤い僧服(カソック)を纏う青年神父。
 髪の毛は銀髪。肌は白人特有の肌。瞳は少し淡い茶色と、碧。視線はかなり強いがそれに比して、顔の造作は精悍と言うよりは西洋人の少年にありがちなやや線の細い美少年と言う容貌。

 そして、彼を取り巻くように傅く若い修道女たち。
 その姿は濃紺のゆったりとした質素な印象の衣装。所謂、修道女と聞いて最初にイメージされる丈の長いワンピースに大きな白い襟元。そして、頭をすっぽりと覆う形の白い頭巾(ウィンプル)。その上から、薄いヴェールを被る、典型的な修道女姿の少女たち。

 そう。この廃墟の聖堂にある意味一番似合わない存在で有りながら、ブリミル教の聖堂にならば存在していたとしても、何の不思議もない組み合わせ。

「まぁ、いいか。オイ、クソ餓鬼。そこの女ども三人を置いて行けば、オマエだけは見逃してやっても良い。さっさと何処かに消えろ」

 修道女たちに傅かれながら、とても聖職者とは言えないような口調でそう言う赤い僧服の少年。
 いや、修道女たちを傅かせている段階で真面な聖職者とは言えませんか。

 ただ、

「どうでもいいけどな、司祭さんよ。ここの聖堂は三年前に海賊に襲われて修道女たちは全員死亡か、行方不明状態になった訳やなかったのか?」

 赤い僧服の少年の周りに傅く少女と言って良い年齢層の修道女たちを見つめながら、そう問い掛ける俺。
 但し、その口調ほどお気楽極楽な気分では有りませんでしたが。

 何故ならば……。

 そんな俺の問い掛けに対して、不敵な……と言う笑
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