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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第72話 廃墟の聖堂
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に度々遭遇させられましたから。

 そもそも、この世界に召喚された当日にレンのクモと言うレア物の魔獣と遭遇させられたトコロが始まりでしたから。

 そして、そいつらの中の一柱ならば、ヤツラに都合の良い結界を構築する事など訳は有りませんか……。

「タバサ。あの湖の修道院に関しての情報を何か持って居ないか?」

 この場所にやって来てから、俺とティターニアとの会話に一度も参加する事の無かった二人の内、蒼い髪の毛の少女に話を振る俺。
 それに、そもそも、その湖の修道院と言う名前すら胡散臭い状態。上空からその島……大体、東西に百二十メートル、南北に八十メートルほどの楕円形の小さい島の何処を探しても、湖など発見出来ませんから。
 しかし……。

「わたしは今夜ここを訪れるまで、プロヴァンス地方のここに、このような役割を持った島が存在している事さえ知らなかった」

 しかし、彼女にしては珍しい答えを返して来るタバサ。もっとも、彼女だって人間ですから、これは仕方がないでしょう。
 森羅万象、すべての事を知って居るはずはないのですから。

 それならば――

「湖の修道院とは、ガリアにプロヴァンス地方が併呑される前。元々独立領だった頃に建てられた修道院」

 もう一人の紫の髪の毛の少女に問い掛ける前……。彼女に対して視線を向けた瞬間、先に彼女の方から答えが返された。
 こちらも、この場所に辿り着いてからの初めての台詞なのですが……。
 それに、そう言えば地球世界でも、元々プロヴァンス地方と言うのはフランス領ではなかったような記憶も有りますか。

「そして、この修道院は本来存在していない人間を収容する為の修道院。故に、一般に知られる事はあまりない」

 まるで吸い込まれるような瞳で俺を見つめ続けながら、そう言葉を続ける湖の乙女。
 その瞬間、普段通り俺の右隣に立つ蒼い少女からかなり緊張したような気が発せられる。

 まして、彼女。タバサに取って、先ほどの湖の乙女の台詞には特別な意味が含まれて居る可能性が有りますから……。
 そう。本来存在しない人間。それはつまり、

【王家や貴族の表に出す事のない庶子。所謂、御落胤と言われる人間を収容していた修道院。そう言う事なのか?】

 かなり気が滅入る質問ですが、この質問は為さねばならない質問でしょう。
 もっとも、流石に実際の声に出しての質問などを行う訳には行かないので、【念話】に因る質問と成りましたが。
 ただ、この世界は中世ヨーロッパに似た世界で有るのですから、世嗣とそれ以外の間には明確な線引きが為されたはずですか。
 更に……。

 視線すら向ける事もなく、感覚のみをタバサに向ける俺。
 そう。本来存在しない人間。世嗣よりも年長の男子の庶子や、母
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