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オベローン
第二幕その七
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第二幕その七

「うっ・・・・・・」
「そこで寝ていろ」
「命だけは助けておいてやる、感謝するんだな」
「くっ、レツィア!」
「ヒュオン様!」
 二人は互いの名前を呼び合うが無駄だった。ヒュオンは倒れ伏しレツィアは海賊達に捕らえられた。そうしてそのまま彼女は何処かと連れさらわれるのだった。
「傷付けるなよ、売るんだからな」
「それで何処に売るんですか?」
「一体誰に」
「そうだな、チェニスの太守がいいな」
 海賊達はこんな話をしながら立ち去っていく。当然レツィアを引き立てて。
「あそこに売ればかなりの金になるだろう」
「そうか、じゃあ今から行くか」
「チェニスにな」
 そんな話をしながら姿を消す。後に残ったヒュオンはまだ倒れている。その中で一言呻くのだった。
「チェニス、そこに・・・・・・」 
 そのまま気を失う。するとすぐに彼の傍にあのオベローンと妖精の本来の姿に戻ったパックがやって来てそのうえで話をするのだった。
「嵐は見事だったな」
「はい、上手い具合にやってみました」
 こうオベローンに応えるパックだった。今二人はじっとヒュオンを見下ろしている。
「シェラスミンさんとファティメさんはそのままチェニスに送らせてもらいました」
「そうか」
「そこでもう庭師に雇われています」
 このことを話すのだった。
「一足先に」
「そして今レツィアもチェニスに向かったな」
「はい」
「では残る一人もだ」
 ヒュオンを見たまま言うオベローンだった。
「チェニスに運ぼう」
「わかりました、それでは」
「後はあの場所でどうなるかだが」
 オベローンはここで右手を口にあてて考える顔になった。
「それにしても今のところはだが」
「どうかされましたか?」
「いや、ティターニアと話したのだがな」
 その自分の妃のことである。
「このヒュオンという若者もレツィアという娘もだ」
「立派な方々ですよ」
「その通りだ。まさか二人共ここまで高潔だとは思わなかった」
 こう述べるのだった。
「どちらがより貞節を守るかと思ったのだが」
「今のところは御二人共ですね」
「そうだ。二人でそのことを話していたのだ」
 そうだというのである。
「もうどちらがより操を守るかではなく」
「二人がどれだけ高潔かですか」
「私達が見るのではなく見せられることになりそうだとな」
 彼は気付きだしていたのだった。
「そんな話をしていたのだ」
「左様でしたか」
「どうやら私達は思い違いをしていたようだ」
 彼はまた言った。
「どちらがより操を守るかではなく」
「人の高潔さをですか」
「見るのではなく見せられる」
 彼がわかってきたのはこのことだった。
「では見せてもらいたいとな」
「では陛下、そ
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