悪魔=悪?
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人気の無い夕暮れの道を歩く。
茜色の空が群青色の空に覆われていく景色を眺め、一度立ち止まる。
悪魔に転生したからだろうか?
微かに人とは違う気配というべき物を感じた。
視線をその気配の元であろう背後に向ける。
其処には黒いコートを羽織った銀髪の青年が立っていた。
常人ではあり得ない色彩の銀色の瞳。
手には長大な西洋剣を持っている。
刃渡りだけでもその青年の身長を超える剣を彼は木の枝を持つ様に軽々と持っている。
「おい。其処の悪魔。」
青年は霧也を呼び止めるやいなや…
「その首、置いてけ。」
切り掛かって来たのである。
咄嗟に身を地面に投げ出していなければ自分は生きて居なかっただろう。
先程霧也が立って居た空間を青年の西洋剣が空を切っていた。
どっ、と冷や汗が背中を流れる。
今のを避けれたのはマグレとしか言いようが無い。
もう一度やれと言われても出来る気がしないしやる気もない。
そして何より青年の持つ西洋剣からは薄っすらと光が靄の様にまとわりつき、それが何よりも嫌な気配を醸し出している。
「避けた!?避けたかっ!!」
カカカ、と笑みを浮かべて青年は西洋剣を振り切った姿勢から瞬時に振り下ろす姿勢に持ち直す。
その贅力もさることながら、先程までの余裕が僅かにではあるが無くなっている。
地面を転がり、振り下ろされる西洋剣を避ける。
すぐさま立ち上がり、逃げようとして不意に身体を引っ張られる。
肩に掛けた鞄が青年の手に掴まれて居た。
「カカカッ!捕まえたぁっ!」
突き出される西洋剣。
それは激痛を伴って霧也の腹部を刺し貫いた。
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
身体中を灼く痛みに喉から絶叫が迸る。
身を悶えさせるが腹部を貫通した西洋剣が邪魔をして、思う様に動けない。
目の前では青年は何が可笑しいのかケタケタと嗤っている。
口元を下弦の月の様に歪めて嗤う彼にふつふつと怒りが沸き上がる。
しかし怒りの感情を感じたのも一瞬で、直ぐに痛みに身体が悲鳴を上げる。
身体から力が抜けていく。
痛みと怒りで混濁する思考の中、声を聞いた。
(まだ、足りない。)
何が足りないのだろうか?
混濁した意識の中でそんな事を思う。
しかし、何よりも。
(このまま、やられっぱなしってのは…)
せめて一発、相手の顔面をぶん殴りたい。
そう思った瞬間、視界が白く染まった。
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