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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
崑崙の章
第18話 「むにゃむにゃ……もう食べられないのだ……」
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「米からできる麺ですか……これはまた」
「小麦はここらではあまり作られませんが、米で作れるのがありがたいですな」
「これはぜひ、家でも作りたいですな……」

 うん。
 みんなの評判もすこぶるいい。

 でも……あれ?
 今日の主菜って、カレーだよね?
 でも前菜も湯も米を使った料理……

「ねえ、朱里ちゃん。もしかして、今日の料理って全部お米で作ってあるの?」
「はい。今日の料理の主題は『米の有効活用』です」

 朱里ちゃんの言葉に、周囲の官吏たちがざわめく。

「みなさんは普段から米を食べられています。でも、大抵はそのまま炊いたものを食べていて、その料理法は驚くほど少ないんです」

 そう言って、手に掲げるのは稲。

「私達の主、北郷盾二様からの書には、こう書かれてあります。『米というものは、一つの国がその実力を表すのに、米の収穫量を内外に示すことがあったほど、偉大な食材なのだ』と。そしてこうも書かれています。『米とはその収穫からして捨てるところが全くない作物なのだ』と」

 へえええ……ご主人様がそこまで言うってことは、お米ってすごいんだ!

「稲は脱穀し、籾殻をとり、玄米から糠をとって精米することで白米になります。今まで、ここまでの工程で捨ててきたものは、全て再利用が可能だとおっしゃっています」
「再利用、ですと?」

 文官の一人が声を上げる。
 朱里ちゃんは、深く頷いた。

「はい。まず脱穀した時に出る稲藁(いなわら)。これは編めば縄になりますし、細かく刻んで田に蒔けば、再び肥料となるそうです」
「肥料?」
「肥料というのは、土の力を回復させる栄養のようなものだそうです。作物はこれを蓄えることで育ちます。当然、作物が実ってしまえば、土の力が減りますから、次作る作物は育たなかったりします」
「なんと……」
「畑や田というのは、育たなくなったら場所を変えて作るものだと思っていたが……」

 そう。
 私も元は農民だから知っている。
 同じ作物を同じ場所で育てていると、何年かすると全く育たたなくなる。
 そうすると土が死んだとして、他の場所で作り始めるしかない。
 その場所は何年かすれば元に戻るそうだが、大抵は新しい誰かがそこで別の作物を育てようとして失敗する。
 そして失敗した人は、食料を求めて野盗になっていく。

「今まではその土の力を回復させる手段がわからなかっただけです。ですが、盾二様は、それを元に戻す方法をお書きになられています」
「なんと!」
「真ですか!?」
「はい。その方法は、輪栽式農業というそうです。簡単にいえば、消費される土の力はいくつもありますが、それを作物を作りながら回復させる方法なのだそうです」
「おお……!」

 そう。

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