崑崙の章
第18話 「むにゃむにゃ……もう食べられないのだ……」
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農地計画を修正して栽培を指示しはじめたのが、ちょうどニヶ月前。
漢中に黄巾の残党が襲ってきた数日後だった。
その時に華佗さんから『カレー』の作り方、そしてご主人様のことを教えてもらった。
なんでも、荊州の劉表さんに面会して、私との同盟を組むことをお願いされたとのこと。
そして巴郡という、漢中の南にある街の太守と仲良くなったこと。
その仲良くなった相手が、女性であることも教えてもらった。
その時、みんなで華佗さんを睨んでしまって、華佗さんが若干怯えていたのは悪かったと思うけど……
そして年が明けて、先日劉表さんと、益州の劉焉さんから同盟の話がご主人様宛に送られてきた。
けど……そのご主人様は、まだ帰ってこない。
ご主人様が、資金を調達すると言って旅立っていったのが去年の夏の終わり。
あれからすでに四月あまり。
年末には帰ってくるという言葉だったのに……
「……お口に合いませぬか?」
「へ?」
顔を上げると、目の前に料理長が立っていた。
あ、いけない。
ここは、宴の席だった。
「う、うううん! お、美味しいよ! こっちの焼いてあるのも……ぱくぱく。うん、上に乗ってる果実も美味しい!」
「そ、それはよろしゅうございました……では、次の料理をお運び致します」
安堵の表情で料理長が下がっていきました。
あーびっくりした。
「(ぼそぼそ)桃香様……?」
「(ぼそぼそ)ごめんね、愛紗ちゃん。ぼーっとしちゃった」
心配そうな愛紗ちゃんに笑いかける。
ふう……そう、この宴はただの宴会じゃないもんね。
まだ内心では心服してない官吏の人たちに、私達が認めてもらうために必要なことなんだから。
気合い入れなきゃ!
「お待たせしました! 次は湯になります!」
そうして運ばれてくる湯。
ふわっとした湯気とともに、いい香りが漂ってくる。
「こちらは酸辣湯と申します。唐辛子と胡椒、そしてお酢を使った湯でございます」
料理長の紹介とともに、私の前にも置かれる酸辣湯。
ああ、美味しそう……
「どれどれ……ん、なにこれ?」
私がレンゲで掬おうとすると、透明な麺のようなものが入っていた。
「そちらは、米粉……ビーフンと申します。米で作られた麺です」
「へえ……米から麺ができるんだ!」
私はしげしげとそれを眺めてから、口にする。
……これは。
「うわ、ツルンとして面白い……小麦の麺と違って、すぐ切れるんだね。でも湯と合って美味しいよ」
「ありがとうございます」
へえぇ……ビーフン、かぁ。
周囲を見れば、みんな美味しそうに食べている。
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