崑崙の章
第18話 「むにゃむにゃ……もう食べられないのだ……」
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あわわわわ……」
「……誠に面目ない」
そう言って平伏しているのは、愛紗さんです。
この状況の説明をしている間もずっと平伏していました。
お腹を引っ込められない、鈴々ちゃんの代わりに。
ともかく……
「な、なくなったものはしょうがないとして……今日の夕食はなんとか用意しないと。あと二刻(四時間)しかないのですから……」
「二刻で千人分の食材ですか……米は糧食から出すからなんとかなるとして、問題は主菜ですな」
「お昼過ぎちゃったから、もう市場にもろくなものが残ってないと思うし……」
「なにより、お披露目するはずだった『カレー』がだせないのが痛いですね……」
盾二様の秘蔵の料理とのことで、大々的に広めるはずだったのに……
私の言葉に、その場にいた料理長が頭を掻く。
「『こうしんりょう』で残っているのは……えっと、『胡椒』と『がらむまらさ』っていうのだけは残っています。頂いた竹簡には一応これだけでも味付けはできるとありますが……」
「それだと味の方は……?」
「多少平坦にはなってしまうかもしれません。できるのは、『どらいかれい』と『かれい』、あとは……細々とした保存食程度ですが」
「……盛り上がりに欠けますが、しょうがないですね」
「あぅ……カレーだけでも一応お披露目にはなりますけど……千人分の量はありますか?」
「かなり薄めれば、なんとか……」
「そ、それじゃあ肝心の美味しさを知ってもらえません。どうしよう……」
はうう……せ、せめて米以外に小麦でもあればなんとかなるのにぃ……
「米、米の料理……米……コメ?」
あれ?
あれれ?
……あ!
「ああっ!」
「ひゃう!?」
「は?」
思わず出した私の大声に、そばにいた雛里ちゃんと馬正さんが驚く。
平伏していた愛紗さんも顔を上げ、驚いた顔で私を見た。
「ひ、ひひひひ、雛里ちゃん! あれだよ、あれ! 盾二様の糧食の項、第百三十六!」
「ひゃ、ひゃくさんじゅうろく……米で作る保存食と、その調理法、だよね? えっと……?」
「びーふん! せんべい! 焼きおにぎり!」
「あ、ああっ!」
「「「???」」」
私と雛里ちゃんの様子を、わけのわからないといった様子で見守る愛紗さん、鈴々ちゃん、そして料理長さん。
馬正さんは、頭をひねりながらも必死に思い出そうとしているようです。
「決めました! 今回のカレーは一部のみ! 米による米だけの大宴会にします!」
―― 劉備 side ――
「劉玄徳様。お招きに預かり光栄でございます。我々文官、武官一同。漢中、並びに玄徳様の益々のご繁栄に、謹んでお慶び申し上げます」
「はい、こちらこそありがとうご
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