崑崙の章
第18話 「むにゃむにゃ……もう食べられないのだ……」
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―― 鳳統 side 漢中 ――
あわわ……
えーと……
あわわ……
ど、どうしよう……じ、時間がないよう。
こんなの……こんなの……
しゅ、朱里ちゃぁ〜ん……
「……あの〜?」
「? 見ない坊主だね。なにかな?」
「は、はい、僕は、先日任官したばかりなのですが……あの幼女は、だれかのお子さんですか?」
「ん……? ああ、あの方か。ははは。まあ、大抵の新人はそう思うようだがな。あの方はれっきとしたここの宰相の一人だ」
「さ、宰相!?」
あぅ〜あぅ〜………………はっ! だめだめ!
朱里ちゃんも疲れて寝てるんだから……私がやらないと!
えーと……えーと……
この作物がこうで……この場所が……
あああ……違う違う。
そっちよりも、盾二様が送られてきた作物の分……その土地の確保が……
「宰相って、諸葛孔明様と鳳士元様という方だったはずでは……」
「だから。その鳳士元様が、あの方だよ」
「……………………」
「おいおい。開いた口が塞がらないみたいだがな。もうお一人の諸葛孔明様も、似たようなお姿だぞ」
「ええっ!?」
ええっと……予定地の拡大がこうで……水路の拡張がこうだから……
ああああ……だめ、だめだめだめ……予算が全然足りない。
となると、こっちの作物は来年度に回して、今年はこっちを最優先……
収穫高の見込みが……盾二様の予想だとこうだから、こっちが……
「こ、この漢中を実質しきっておられる、天才二人と聞いていたんですが……まさか、あんな幼い子が……」
「おい坊主。口の聞き方に気をつけろ。勘違いするのは仕方ないが、知ってなおそれを口にするな。あの方々がおらねば、今の漢中は本当に立ちゆかないんだ」
「あ、は、はいっ! き、気をつけます!」
「うむ……まあ、ともかく挨拶してこい。くれぐれも失礼のないようにな……あと、脅かすなよ」
「はい……は?」
となると、最優先でこの作物の説明をしてまわるとして……うん、よし。
うん、これならなんとかなりそう……ふう。一瞬、慌てちゃったけど、なんとか……
「あ、あの……」
「ひゃぅ!?」
突然、間近に知らない男の子が、顔を覗きこんできました。
だ、誰ですか!?
「あぅ……あぅあぅ……ごめんなさい。いじめないでください、攫わないでください、売られたくないです、まだ私にはやることが……」
「は、はい?」
あぅ!?
ああ……いけない。
また人見知りしちゃった……直さなきゃと思っているのに。
なにより、ここは私と朱里ちゃんの執務室でした。
「こ、こほん……し、失礼しました。ど、どなたですか……?」
「あ、あのう
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