第一章〜囚われの少女〜
第十二幕『幕開け』
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な」――こそこそと口々に言い合っていた。
男は鋭いその眼光で子供たちを見下し、舌打ちをする。「黙ってな。面倒なクソガキどもが」憎悪に満ちた声で冷血な男は威圧する。「お、お、お芝居みに行こうぜ」「ああ、そうだな!」男に悟られないように子供たちは焦る気持ちを抑え、逃げ出した。
睨んだ者を瞬時に石に変えてしまうような、悪魔の瞳の男はひとり呟く。「そろそろ観劇の時間か」――太陽は空に高く上ろうとしていた。
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――
幕が開がる寸前のナレーション。「歯車と歯車が噛み合うように人々は出会い、物語は動き始める。一体この物語の、悲劇の始まりはいつなのだろう。気が付いた時は既に遅く、知らないうちに歯車は狂いだす――それに気付くことが出来たのならば、この惨劇は回避できたのかもしれない」――昔話の語り部のようなモノローグ。観客席から歓声が沸きあがる。劇『エリオとジュリエッタ』の幕は上がった。ジャックの姿は舞台裏にも、どこにもなかった。
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