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流星のロックマン STARDUST BEGINS
星屑の覚醒
6 怒りと恐怖
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AQUOS、教科書類、USBメモリー型のミュージックプレイヤー、女の子なら持ち歩いているような携帯型のクシ、そして日記帳だ。
前に彩斗と公園で話しながらたまに開いては書いていた日記帳。
いつも楽しそうに書いていたのを思い出す。
メリーは欲望に負けそうになった。
手を伸ばし、オレンジ色の日記を開こうとする。

「ダメだよね。人の日記覗いちゃ...」

メリーはぎりぎりのところで欲望に打ち勝つと、玄関の前で待っていたハートレスのガヤルドに乗り込んだ。
すぐさま街外れの施設に戻ろうとする。
しかし途中で学校の前を通り過ぎた時に、メリーは怒りに震えた。
大人数で群れて大笑いしながら下校する不良たちが見えた。
彩斗とミヤを襲った犯人たちだ。
まるで邪魔者がいなくなったことが嬉しくて仕方がないように満面の笑みだ。

「落ち着きなさい。怒りに囚われたら終わりよ」

ハートレスに諭され、ようやく自分を取り戻す。
メリーのそれを察したのかハートレスも一気にアクセルを踏み込み、学校から離れていく。
深呼吸をしながら落ち着いた。
そして施設に戻ると、部屋の彩斗のベッドに飛び込んだ。

「...一体何処にいるんです?」

彩斗のベッドにいるだけで彩斗に抱きしめられているような錯覚に包まれていた。
少しだけだが、安心できる。
今すぐでも探しに行きたい。
しかし全く手がかりがない状態では、行っても全く意味を成さないのが逃れられない事実だった。
そしてハートレスはそれを見届けると自分のオフィスのある施設の12階へと向かった。
孤児たちの個室のある3階から10階の更に上だ。
実際、この施設はホテルやビルと似た構造で、12階はまるで展望レストランのようなオフィスだった。
ハートレスはいつもの自分のデスクに座り、iMacの電源を入れた。
OSはDebianをカスタムしたディーラーオリジナルのものだ。
そしてすぐにデスクトップのカウントダウンクロックを開いた。
ハートレスは焦っていた。

「...あと8日」

これは彩斗の生命の火がこのままの状態で持ちこたえられる時間だった。
彩斗が死ねばディーラーの計画に大きな支障が出る。
というのも彩斗には持病がある。
本人も知らないことで、それは彩斗の出生に大きな関係のあり、一度はその命を奪った「H・B・D」という病だ。
原因不明の心臓病で近年になってようやく治療法が見つかった。
それは蘇生したからといって治ったわけではない。
症状を抑える薬品を彩斗が普段、摂っている食事に混入させていたからこそ、ここまで何とも無く生きてこられたのだ。
もし残り8日で薬を投与できなければ、本人はわけも分からずに野垂れ死ぬことになるのだ。
それは何としてでも避けねばならぬ事態だった。

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