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皇太子殿下はご機嫌ななめ
第5話 「そんな大人は修正してやる」
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たしも皇太子殿下の晴れ姿を見てみたかったです」
「見て、おもしろいもんじゃねーぞー。アンネローゼ」
「それにしても、さっそく。新聞の一面に載ってますよ。皇太子殿下のお姿」
「意外と儀礼服、お似合いですねー」
「お〜いエリザベート。そりゃないだろう。ふだん似合ってないってか?」

 おばさんは遠慮がねーよなー。
 寵姫なら寵姫らしく、なんというのか、こー控えめにさー。
 あそこで真面目に仕事をしてる、マルガレータのように一歩下がるって気持ちはないのか?

「一歩、どころか五、六歩下がっておりますよ」
「それでかよ。旦那がかわいそうに思えてきたぞ」
「大丈夫です。わたしも一歩、下がっていますから」
「アンネローゼまで、言うかー」

 ■皇太子の間 ラインハルト・フォン・ミューゼル■

 皇太子が帝国宰相になった。
 それはともかくとして、なぜか俺とキルヒアイスが、皇太子の間に呼び出されたのだ。
 いったい何の用があるというのだろう。

「お、よく来たな。エリザベート、用意はできてるな」
「はいはーい。できてますよー」
「マルガレータ」
「了解です」
「かかれ」
「ヤー」

 部屋に入った途端、皇太子の新しい寵姫である二人の女性が、俺を捕まえた。
 にやにやと笑う皇太子。
 何をおもしろがってる。
 キルヒアイスはおろおろとしてるし、姉さんは……。
 姉さんは、なぜかハンカチを取り出して、振っているー。

「姉上ー」
「ラインハルト、がんばってー」
「いったい何事ですかー」

 二人の女性に捕まった俺は、奥の部屋へと連れ込まれ、女装させられてしまった。
 やはり、皇太子は以前の事に気づいていたのだ。
 なんといやな奴だ。
 俺を笑い者にする気なのか。
 皇太子の前に引きずり出された俺を、姉さんがじっと見ていた。
 姉さん、そんなに見ないで下さい。

「よく似合うぞ。ま、今日は一日。アンネローゼの手伝いをしていけや。ラインハルトちゃん」

 ぐぬぬ、よくもこのような辱めを、皇太子め。

「かわいいですねー」
「なんだか、なみだ目になってますよ」

 二人の女性が口々に言い合っている。
 なにがそんなに楽しいのだ。不愉快だ。キルヒアイスもそんな奴らと仲良くするんじゃないっ。

「最近、忙しくて疲れていたからな。たまにはこんな楽しみがあっても良かろう」
「ラインハルト、似合ってるわ」
「姉上まで……」

 姉さんは、皇太子の下へ連れ攫われてからというもの、変わってしまった。
 皇太子のせいだ。きっと、そうに違いない。
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