第5話 「そんな大人は修正してやる」
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言っても。皇太子殿下の肝いりで始まった開発です。使える使えない以前に、欲しがる部署は多々あり、殿下に対して、恩を売ろうと考える者も多いみたいでした。
「自分の裁量に任せていただけるのでしょうか?」
「任せる。だが、磨り潰すような真似はするな。これは装甲擲弾兵自体にも言えることだがな」
「了解いたしました」
■ノイエ・サンスーシ 薔薇園 フリードリヒ■
今日、珍しくルードヴィヒがやってきた。
何事かと思えば、劣悪遺伝子排除法を廃法にしたいと言うてきたのだ。
「お前の好きにすれば、良かろう。万事任せる」
「良いんだな、親父」
「構わぬ。その代わり、帝国宰相になってもらうぞ」
「しゃーねーなー。引き受けた」
「しかし非公式ながら、皇帝と皇太子の会話ではないな」
「馬鹿親父と馬鹿息子の会話だろう? 韜晦が過ぎるぜ」
「なにを言う。わしは五十年以上も韜晦を続けてきたのだ。お前よりも年季が入っておるわ」
「馬鹿の振りも飽きたか?」
「なんの。まだ飽きておらぬ。死ぬまで続けて見せるわ」
「俺は親父ほど、我慢強くなくてな。せいぜいあがいてみるよ」
「足掻くだけ、足掻いてみせよ」
ルードヴィヒが立ち去ったのち、我が子ながら、よくぞ強く育ってくれたものだと思う。
あやつはわしを我慢強いと言うたが、わしはあやつほど、強うなれなんだ。
すまぬの……不甲斐ない父親で。
■ノイエ・サンスーシ 黒真珠の間 リヒテンラーデ候クラウス■
オトフリート三世陛下の先例に習い、ルードヴィヒ皇太子殿下が、帝国宰相の地位に就かれる事となった。
「ルードヴィヒ・フォン・ゴールデンバウムである。これから帝国の有り様を一新する事になるが、皆の者。心せよ」
短いお言葉のあと、黒真珠の間に集まった貴族、百官を無言で睥睨するお姿は、かのルドルフ大帝を思い起こさせるものがある。貴族達の戦々恐々とした怯えようは、笑いを噛み殺すのに苦労するほどじゃ。
皇太子殿下から、一段下がった左右に、ブラウンシュヴァイク公とリッテンハイム候が、神妙な面持ちで両脇を支えるように控えている。
さて、このお方が帝国をどのように変えていくのか、楽しみでならぬ。
それにしても、暑いの〜。
■皇太子の間 ルードヴィヒ・フォン・ゴールデンバウム■
あーあっちー。
久しぶりに黒真珠の間に行ったぜ。
このくそ暑いのに、マントを着込むはめになろうとは、思ってもみなかった。
空調利いてなかったぞ。
いやがらせか?
いやがらせなのか?
親父の嫌がらせだろう、きっと。
親父のときは、がんがんに利かせてるからな。
惚け老人と親父が、にやにやと笑っているさまが目に浮かぶぜ。
「たいへんですねー。わ
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