一章 Experimental Results
No.1 新しい家族。
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鏡を見ていない為に気づいていないが、実は実感がないだけで変化は既に生じていた。
黒かった髪は赤紫になり、瞳も同様の色に変化し、整った顔と合わさって神秘的な雰囲気を放つようになっていた。
それに加えて先程まできつく縛り付けられ、真赤になっていた手足は、凪が気づいていないだけで異様な速度で回復し、綺麗な肌色に戻っていた。
そんな事に気づかない凪は、のんきに何だか体が軽いことに幸せを感じていた。
「そうだな、一緒に散歩に出てみないか?」
新しい姉からの誘いに、体が軽く、気分のいい凪は迷わず飛びついた。
「いく!」
そんな弟の姿に、若干の愛おしさを感じつつも、楓は実験結果が気になる故に先を急いだ。
とはいっても、楓の目的は凪を衆目にさらすというものなので、遠くに行くつもりはなかった。
楓と凪は隠し扉から実験室を後にし、水筒を持って家を出て、人目につきそうな場所を目指し始める。
そんな最中、小さな足でトコトコと必死についてくる弟に気づき、ペースを遅めながら楓は周りの様子を探り始める。
周りの視線はどれも愛らしい弟を見るもので、楓がほしがった視線は何一つなかった。
ただ時折変態と思わしき主婦が、息を荒くしているのが気になった。けれどそんな輩は後で実験材料にしてしまえばいいかと楓は切り捨てる事にした。
そうしてしばらく、楓は周りを観察し続けながら、凪はそんな義姉を見続けながら歩き続けていたら、何故かヤンキーに絡まれていた。
「いいねぇいいねぇ! マジでよさげな子じゃねえの!」
「ヒィャッフーーーー! 俺たち『爆走アヒル』にも運が向いてきたって、こっちゃねええええええええええ」
「バリウマ、バリウマっす」
とてつもなく個性的な不良である。
とはいえ、個性的な不良など然して珍しくないのが昨今であるからして、楓は驚きもしていなかった。
寧ろいいカモがきたと、内心笑みを浮かべていた。
けれどそれは楓だけであって、幼い凪は怯えながら不良たちを見つめていた。
「そこの少年よぉ、おれたちと遊ばねえ? おばはんなんてほっとこうぜ!」
「俺たち『爆走アヒル』と付き合えば、ななななんと、格好いいお兄さんとお財布がついてくるんだぜ! やべえええよ、マジやっべええええよ、今しかねえよ!」
「バリウマ、バリウマっす」
どうやらターゲットが楓ではなく、凪らしいとわかった瞬間から、楓は切れていた。
弟が狙われたという理由もあるが、何よりもスタイル抜群で、普段男を虜にしてやまない自分をおいといて、弟を狙うその根性が楓には許せなかった。
そして狙われている人物である凪は、相手の狙いが自分だけだと気づき、何とか新しく出来た義姉に逃げてもらおうと、涙を浮かべながら両手を広げ、義姉の前に立ちふ
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