こぶたのまき3
[1/3]
[1]次 最後
今日から学校に登校。1年も行かなかったんだからみんなの中には私なんていないだろうと思った。
もしかしたら、1年も行かなかったから余計に「こいつ3年の時来なかったよな」みたいに
なっちゃうかもしれない。悪い意味でみんなの中に残ってるかもしれない。
朝、起きて朝食をとって支度を始める時もずっとそんなことを考えていた。同じことがあっても、もう
気にしないこと、こういう風にうじうじしないこと。それを自分と自分の心に言った。
そして登校時間になった。勿論不安は納まっていない。だけどこうしていう時間は自分には1秒たりともなかった。
久々に一人で通る通学路。この通学路をまっすぐ行くと川があり橋がある。そこをまがってまっすぐ行けば学校。意外と学校まで近い距離にいる。ある意味それがいやだったりもする。だけどこの恵まれた環境は私は好きだ。家から少し歩いたら川があって、河川敷がありそこには大きな1本の木が立っている。
気分が向かないときとか、ここに来れば川のせせらぎを河川敷で聞くことができ、気分が落ち着き心地
よい気分になる。だから、この自分の住んでいる町は嫌いではなかった。
「おはよ」
「おはよう」
学校のグラウンドに着けばみんなが交し合っている。自分に言われてなくても聞いているだけで
こっちまで少し元気がもらえる。例え自分に向けられた言葉でなくても聞くだけで元気が湧く。
あいさつってこんなにもすごい力を持っていたんだ。なぜ気づかなかったのだろうか。
「りなちゃん?」
と、私の後ろから声をかけてきた。同級生の足立菜由佳だ。彼女とは関わりがあまりなかったし
1年の時から特に話をしてきたわけでもない。
「りなちゃん、久しぶり」
「え、あ、うん」
私は少し戸惑った。今まで相手から挨拶もされたこともなければ話しかけられたこともないから。
「元気だった?」
「うん、元気だったよ」
私はそう答えた。菜由佳はそう答えた私に「ならよかった」とにこっと笑った。
そして菜由佳と私は教室へと向かった。私は菜由佳に感謝した。一人で教室に行くのは不安だったし
話しかけてもらったことがないから菜由佳がいてくれて本当によかったと思う。
「おはようみんな」
教室に入ると私は菜由佳にちょっぴり感謝をした。このまま誰にも話しかけられなかったらどうしようという不安もあったし、クラスメイトに嫌われてたらどうしようとも思った。でも菜由佳が挨拶だけでもしてくれたことがとてもうれしかった。教室に入るまでほとんど菜由佳と会話はなかった。
「秋山さん?」
「えー。いたんだ」
みんなは口々に言う。4年生の担任の先生だと思われる人がきた。
「秋山さん、よく来たね」
と笑っていった。そして
「はい、今日から秋山りなさんが登校してきました。みんな仲良くしてあげてください」
[1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ