第十話 どうして俺を頼るんだ
[5/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
中はこいつに元帥府の留守番をやらせるか。番犬代わりには使えるだろう。
「その御茶会には我々も入れて頂きたいですな」
声のした方を見るとロイエンタール、ミッターマイヤー、レンネンカンプ、ミュラー、クレメンツが居た。何でだ? ウチの元帥府は政治力とかまるで期待できないんだぞ。ミュラー、お前にも言ったよな……。
帝国暦 486年 7月 5日 オーディン 新無憂宮 翠玉(すいぎょく)の間 オスカー・フォン・ロイエンタール
「ウチの御茶会に参加してもメリットは何もないですよ。政治力とか影響力はまるで期待できませんから。貧乏籤を引くのが関の山です。止めた方が良いですね」
にべもない言葉だ。総参謀長の答えに皆が苦笑を浮かべた。
「いや、それなのですが総参謀長。我々は既に貧乏籤を引いてしまったようで……」
「いまさらお茶会に参加しても失うものは無いのですな」
ミッターマイヤーと俺が答えると総参謀長は訝しげな表情をした。
「ナイトハルト、卿も同様らしいがどういう事かな?」
総参謀長の問いかけにミュラー中将が肩を竦めた。
「上手く行かないんだ。我々は皆上層部に伝手が無いんでね、正規艦隊司令官にしてもらったのは有難いんだが分艦隊司令官、司令部要員の選抜さえ上手く行かない」
総参謀長が我々の顔を困ったように見ている。
「クレメンツ教官に士官学校の教え子から適任者を紹介してもらおうと思ったのだが教官にも無理だと言われて……」
ミュラー中将が視線を向けるとクレメンツ少将が首を横に振った。
「私が推薦できるのはほんの数人だ、しかも果たして来るかどうか……。元帥府に所属してない正規艦隊では消耗品扱いされると敬遠されるかもしれん」
総参謀長は我々の顔を見渡してから溜息を吐いた。
「それでグリンメルスハウゼン元帥の元帥府に入りたいと? 他の元帥府はどうなのです? どうせなら帝国軍三長官の元帥府の方が色々と便宜を図ってもらえると思いますが……」
「それも駄目なんだ。他の元帥府は貴族達の力が強くてね、我々は歓迎されない。年が若いからやっかまれている節も有る」
ミュラー中将の言葉に総参謀長はまた溜息を吐いた。しかも今度の方が溜息は大きい。しかし現実に我々は非常に困難な状況にある。正規艦隊司令官とはいえ階級は中将、しかも後ろ盾が無いとなれば何かと軽視されがちだ。そこに嫉妬が入ればさらにややこしくなる。
「それで皆で相談してね、やっぱりグリンメルスハウゼン元帥府に入るのが良いだろうと。宜しく頼むよ」
ミュラー中将がニコニコと頼むとリューネブルク中将が嬉しそうに後を続けた。
「楽しくなりそうですな、総参謀長閣下。あまり周囲の受けは良くありませんが実力は有ります。いかにもグリンメルスハウゼン元帥府に相応し
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ