第二話 余計なことはするんじゃない
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を見ている。
『貴様、愚弄するか!』
「愚弄? 愚弄しているのはそちらでしょう。元帥閣下はこの程度の事で悩むような器の小さな方では有りません。自分の器量で元帥閣下を量るとは……、シュターデン少将、いささか僭越ではありませんか」
上手い言い方だ、正直感嘆した。シュターデンが顔を真っ赤にして口籠っている。
「元帥閣下を悩ませているのは頼りにならない何処かの司令部参謀でしょう。その程度の事も分からないとは……、元帥閣下も嘆いておられるでしょうね、部下に恵まれないと」
『き、貴様……』
シュターデンが怒りでブルブルと震えている。止めを刺された、そんな感じだな。それにしてもヴァレンシュタインは度胸が有る。以前から思っていたがただの秀才参謀ではない。シュターデン、残念だがお前じゃこの男の相手は無理だ。
『しかし、帝国軍の名誉が貶められているのだ。無視はできまい』
唸るような口調でオフレッサーが助け船を出した。シュターデンもようやく態勢を立て直して“そうだ、名誉だ”と続ける。突破口を見つけた、そんな感じだ。
「名誉? 冗談は止めてください。戦争は勝つためにやるものです。負けても名誉が保たれたなどというのは馬鹿な参謀の言い訳ですよ。歴戦の勇士であるオフレッサー閣下ならこの程度の事はお分かりでしょう。小官をからかっているのですか?」
ヴァレンシュタインが呆れた様に言うと今度はオフレッサーが言葉に詰まった。馬鹿な参謀と当て擦られたシュターデンはまた顔を真っ赤にしている。
「グリンメルスハウゼン提督」
「何かな、参謀長」
「宇宙艦隊司令部は少々困っているようです。我々の手でそれを解消して差し上げたいと思いますが提督は如何お考えでしょう?」
オフレッサーとシュターデンの表情が強張った。何時の間にか立場が逆転していた。これでは二人がグリンメルスハウゼン艦隊に何とかしてくれと泣き付いた事になっている。前代未聞の珍事だ、俺だけじゃない、皆が目を丸くして見ている。
「そうじゃのう、味方が苦しんでいるときは助けるのが当然の事じゃ」
本心からか、それとも皮肉か、多分本心だろうな。だがスクリーンの二人には何ともきつい皮肉にしか聞こえまい。
「分かりました、ではこれから出撃します」
「うむ」
提督とヴァレンシュタインの遣り取りに艦橋の空気が緊張した。
「オフレッサー閣下、シュターデン少将、グリンメルスハウゼン艦隊はこれより出撃します。これは貸しですよ、いずれ返して頂きます。お二方は元帥閣下に事の経緯をきちんと説明してください」
『……』
二人とも苦虫を潰したような表情だ。それを見てヴァレンシュタインがにっこりと笑みを浮かべた。また何か考え付いたな。
「戻り次第小官から元帥閣下に報告を致します。その際、お二方が自由
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