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『ステーキ』
新しい場所
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 隣に女性が乗り合わせる。若さからくる、美しさが、瑣末な事を押し流している。
「今まで出来たことが、今日出来ないはずがない」
 女性が押し流した瑣末な事とは、初老の男性の醜さか。
「今まで出来たことが、これからの障害にならぬよう……」
 背伸びをしようか、ナチュラルで行こうか。いや、ニワトリの突き順。最初に一発かまさないと。

「役者とは、この世に生まれることのなかった、聖の魂を、形而下に降ろしてくるものです。キレイな台詞を言って、それが嘘に聴こえるなら、そいつは、その言葉が存在する次元にまで達していないという事だ。『これが自然な演技です』そんな言葉は一昔前の事だ。自然を醸し出すなら、己の白の部分と、黒の部分を見事に使い分けたまえ! 北海道には、自然と都会がある。それらすべてがこの空気を造り出している。それを吸い込んで演技するんだ。神の子池は純心の美しさ。街は男の筋トレ、女の化粧。山は、己の小ささを知れと言う御触れ。高速道路は南高、いや、ヤクザかな」
 カントクのプロデビューはこんな感じだった。

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