暁 〜小説投稿サイト〜
『ステーキ』
自主映画
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僕。殴ることが日常の彼ら。どちらが何を得て何を失うのかと、頭が発電しそうなくらい細かいインスピレーションが襲う。ボクサーは殴りあった後、抱き合って健闘をたたえる。荒ぶる人間はそこに至ることなく、雑な魂で人を殴る。憎しみで押しのけた存在に、報復の余地を感じないのだろうか。彼らは自分の中にアンラッキーが入ってくるとすぐさま反撃する。僕はなんとなくいなしながら、うまく心を反転して収める。脇の下に汗をかいている。
 カントクは何度かカメラの角度を変えて殴るシーンを撮影している。シンジ君の顔をアップでとらえるけど、かまえすぎて良くはない。腹にめり込む拳のアップを撮っても、しっくり来ない。ワルが体を反転して左の拳を振るう瞬間の顔をとらえたのが一番はまったようだった。「顔芸いいね」とカントクがほめていた。

「コッポラに次ぐ位の器ねぇかな……」
 カントクがポツリとつぶやいた。誰にもその気持ちはわからないだろう。

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